(※写真はイメージです/PIXTA)

フランクリン・テンプルトン債券グループのエコノミストが、米国の関税政策の変更がもたらす影響と、それが他国の経済に及ぼす影響を分析したマクロ・ビューをまとめたレポートです。米国経済レビューに加えて、欧州と日本の経済見通しも解説しています。

※本記事は、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が2025年3月12日に配信したレポートを転載したものです。

米国経済レビュー

米国経済:関税は効果的な平等化手段となり得るか?

【成長見通し】中立的楽観

 

・関税戦略:トランプ大統領の2期目の任期開始から6週間以内に、同政権は中国からのすべての対米輸出品に対して10%の関税を課しました。一方、他の貿易相手国には譲歩と引き換えに関税を猶予するという「アメとムチ」のアプローチを採用しています。2月13日の覚書では、米国の関税を貿易相手国の対米平均関税率と同等にすることを求めており、この相互主義を税金(付加価値税や米国企業に対する域外課税を含む)や非関税障壁(不当な補助金、負担の重い規制環境、緩い知的財産保護、為替レートや賃金の抑制政策)にまで拡大することを提案しています。

 

・まだ不明瞭な相互主義の範囲:国別の関税が最も実行しやすいものの、政権はこのアプローチを明確に支持していません。覚書によると、新たな輸入税は米国の貿易相手国ごとに調整される予定であり、関税は特定の製品やその国の産業全体に適用される可能性があります。「重要な輸入品」に対する関税は、相互関税とは無関係のままとなる可能性が高そうです。また、米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいる国々が影響を受けるかどうかも不確かです。

 

・明確ではないスケジュール:2月13日の覚書は、ホワイトハウス行政管理予算局(OMB)に対し、180日以内(8月12日まで)に報告書を提出するよう指示しています。4月1日までに提出される商務省、米国貿易代表部、その他の貿易関連機関による外国貿易慣行の見直しが、この報告内容に大きな影響を与える可能性があります。そのため、相互貿易計画の策定には数ヶ月を要する可能性があります。このアプローチの範囲が広いため、より多くの貿易相手国が交渉のテーブルに着く可能性があり、リードタイムが長くなることで交渉の余地が生まれます。

 

・関税引き上げの試算にある2つのシナリオ:シナリオ1(完全相互主義+中国製品に対する10%の追加関税)の場合、加重平均関税は3.7%上昇し、6.1%になる可能性があります。シナリオ2(完全相互主義+中国製品に対する10%の追加関税+「重要な輸入品」に対する25%の追加関税)の場合、関税は9.3%上昇し、11.8%に達する可能性があります。重要な輸入品を含むシナリオ2では、シナリオ1よりも5.8%上乗せとなり、そのうち自動車と医薬品に対する25%の関税がそれぞれ約2.6%、1.6%寄与します。

次ページ「関税措置」が今後米国の経済・インフレに与える影響

 当資料は、フランクリン・テンプルトン(フランクリン・リソーシズ・インクとその傘下の関連会社を含みます。以下(「FT」)が作成した説明資料を、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が翻訳したものです。
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