地方自治体に求められるアウトサイドインの発想
特に近年では、GR(Government Relations:ガバメント・リレーションズ)に代表される様な「地域課題解決にフォーカスした良質で戦略的な官民連携」が求められており、オープンイノベーションプロジェクト、民間提案制度、マッチングサービス、包括連携協定、規制のサンドボックス制度など、多様な連携の仕組みが整備されている。行政が単独で解決策を持たない社会課題に対して、自治体が外部の視点を積極的に取り入れる「アウトサイドイン」の発想で官民連携を通じて解決に導く取り組みが、今後、重要性を増していくと思われる。
民間の視点からみる「官民連携」
企業の社会的責任に関する取り組みの現状
2023年に改訂された内閣官房のSDGs実施指針※5では、企業の社会的責任に関する取り組みが、持続可能な経済・社会・環境づくりを進める上で不可欠であるとされており、特にインパクト投資やESG投資の促進など、社会課題の解決を通じて事業性を高める企業への支援を強化する方針が示されている。
また、日本経済団体連合会(経団連)の企業行動憲章でも「イノベーションを通じて社会に有用で安全な商品・サービスを開発・提供し、持続可能な経済成長と社会的課題の解決を図る」ことが掲げられており、企業理念やパーパスといった経営理念とサステナビリティ方針との関連付けが多くの企業で進められている。
この状況について、経団連の2025年公表のアンケート結果※6によれば、「社会貢献活動に関する方針」と企業理念やパーパス等の「経営理念」との関連付けを進める企業は89.5%となっており、社会貢献活動の重点分野としては、「環境」(87.5%)、「次世代育成」(69.1%)、「地域コミュニティ」(68.4%)が続いている。
また、ニッセイ基礎研究所の調査※7によれば、消費者は企業に対して積極的なサステナビリティ活動を求めている(企業向け平均45.6%>消費者向け平均39.6%)(図表3)となっており、地方創生SDGsの推進において、民間企業による積極的な関与と実践に対する消費者の期待がうかがえる。
※6 日本経済団体連合会. (2025). 社会貢献活動に関するアンケート結果.調査対象者:経団連企業行動・SDGs委員会委員企業(393社) 回答数:153社(回答率:38.9%)。
※7 サステナビリティに関する消費者調査/(2024年調査)調査時期:2024年8月/調査対象:全国20~74歳男女/インターネット調査(株式会社マクロミルモニターから令和2年国勢調査の性年代構成比で抽出)/有効回答数:2,500。サステナビリティ意識について25項目を5段階尺度(そう思う、ややそう思う~そう思わない)で聴取しており、うち4項目を抜粋して「そう思う計」を集計している。


