(写真はイメージです/PIXTA)

物価高の影響で原材料価格や仕入れ価格の上昇が続いています。25年1月の景気ウォッチャー調査では、現状判断DIが3ヵ月ぶりの低下となりました。いったいどのような理由で景況感の改善と悪化を判断しているのでしょうか。景気判断理由に着目しながらみていきましょう。本稿では、ニッセイ基礎研究所の佐藤雅之氏が、1月の景気ウォッチャー調査の結果について詳しく解説します。

景気の現状判断DI(季節調整値)は前月差0.4ポイント低下の48.6

内閣府が2月10日に公表した景気ウォッチャー調査によると、25年1月の景気の現状判断DI(季節調整値)は前月差0.4ポイント低下の48.6となり、3ヵ月ぶりの低下となった。

 

地域別では、全国12地域中6地域で上昇、6地域で低下であった。最も上昇幅が大きかったのは甲信越(前月差4.0ポイント上昇)で、最も低下幅が大きかったのは中国(同3.3ポイント低下)であった。

 

現状判断DI(季節調整値)の内訳をみると、家計動向関連が前月差▲0.6ポイント、企業動向関連が同0.3ポイント、雇用関連が同▲0.7ポイントであった。今回の調査結果をふまえて内閣府は判断を「景気は、緩やかな回復基調が続いている。

 

先行きについては、価格上昇の影響等を懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている。」から「景気は、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、緩やかな回復が続くとみているものの、価格上昇の影響等に対する懸念がみられる。」へと修正した。

 

景気の現状判断DI(季節調整値)
[図表1]景気の現状判断DI(季節調整値) (資料)内閣府「景気ウォッチャー調査」

 

現状判断DI(季節調整値)の変動要因
[図表2]現状判断DI(季節調整値)の変動要因 (資料)内閣府「景気ウォッチャー調査」

物価高による影響で消費者の財布のひもは固くなっている

家計動向関連では、サービス関連(前月差0.5ポイント)は改善したものの、飲食関連(同▲3.2ポイント)や住宅関連(同▲2.0ポイント)は大幅に悪化した。

 

コメントをみると、「初売りや新生活準備のため、来客数が増加するとともに、ついで買い等も多かった」(四国・家電量販店)と、初売りの好調さがうかがえる。

 

その一方で、「インフルエンザが流行している。また、ガソリンや米等、諸物価が上昇しているため節約傾向にあることから、車に乗るのを控えている様子がうかがえる」(甲信越・タクシー運転手)と、物価高による影響で消費者の財布のひもが固くなっているコメントもみられた。

 

企業動向関連では、非製造業(前月差▲0.1ポイント)は小幅に悪化したが、製造業(同1.5ポイント)は改善した。

 

コメントをみると、「企業の様子をみると、原材料価格や仕入価格の上昇が続いているとしながらも、販売価格の見直しに向けて、商品の改良や品質の改善、商品パッケージの変更、新商品開発など、前向きな取組を進めようとする動きがみられるようになってきた」(北海道・金融)など、企業は原材料価格上昇に伴うコスト増を価格転嫁する動きがみられる。

 

雇用関連では、「特に、県内の中小企業では、中途及び新卒とも採用に苦戦している状況が続いている。新卒の不足を中途で、中途の不足を新卒でと相互に補完してきたが、現在はいずれも苦戦している」(四国・求人情報誌)など、採用に苦戦している企業がみられる。

 

下図は、景気ウォッチャー調査の「景気判断理由集(現状)」のコメントをもとに計量テキスト分析※1を行い、共起ネットワーク※2を作成したものである。

 

景況感が改善したと判断した回答者のコメントには、インバウンド、需要、好調、初売り、年末年始といった単語が多く含まれていることが読み取れる。一方、景況感が悪化したと判断した回答者のコメントには、販売量、値上げ、物価高といった単語が多く含まれていた。

 

「景気判断理由集(現状)」の共起ネットワーク
[図表3]「景気判断理由集(現状)」の共起ネットワーク (資料)内閣府「景気ウォッチャー調査」を基にニッセイ基礎研究所作成

 

※1 分析にはKH Coder 3(樋口2020)を使用した

※2 共起ネットワークとは、よく一緒に使われる語同士を、線で結んだネットワークのことである

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2025年2月12日に公開したレポートを転載したものです。

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