築40年の木造アパートを売却したら、突然「税務署」から“お尋ね”が届いたワケ【税理士が解説】
既存不適格物件を購入するリスクを理解する
今回は、不動産投資における既存不適格物件について解説しました。
既存不適格物件は、価格と利回り次第では投資対象として検討するという人もいるでしょう。しかし、建築基準法などの法規に適合しない部分があるため、再建築やリフォームの制限、売却価格の低下、融資の難易度が高いなど、さまざまな問題を抱えているため、慎重な判断が必要です。
不動産業者や建築士などの専門家に相談し、公的な資料はもちろんのこと、現地の現況を詳細に確認し、物件の現状を正確に把握することは、最低限の注意点といえるでしょう。
しかし、現状把握だけでは不十分です。将来的なリスク、たとえば法令改正による再建築の制約、改修費用の増大、融資の難しさ、売却時の価格低下などを想定し、既存不適格箇所の解消が困難な場合や、出口戦略が明確でない場合は、投資自体を見送るべきです。
既存不適格物件は、確かに初期投資額を抑えられる可能性があります。しかし、その後の維持管理コストや将来的なリスクを考慮すると、必ずしも有利な投資とはいえません。安易な判断は、賃貸経営に深刻な悪影響をもたらす可能性があります。
そのため、既存不適格物件への投資は、リスクを十分に理解し、専門家を交えた極めて慎重な判断が求められます。
多くの場合、既存不適格物件への投資は、リスクに見合うリターンを得ることが難しいといわざるを得ません。したがって、不動産投資においては、できる限り既存不適格物件を避け、現行の法令に適合した物件を選ぶことをお勧めします。
※ 国土交通省 第11回地域活性化WG 資料1-1(その2) 既存不適格建築物について
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg3/chiiki/150130/item1-1-2.pdf
三澤 智史氏(一級建築士/一級建築施工管理技士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士)

