(※写真はイメージです/PIXTA)

過去の法改正により、容積率や建ぺい率を超えて建築された物件が存在します。市場には、非常に魅力的な利回りで流通している物件を目にすることも。しかしこのような物件は、建て替えや増築が制限されたり融資が下りなかったりする可能性があり、投資リスクが高まります。本記事では、既存不適格物件を購入した不動産投資家の事例とともに、既存不適格物件の注意点について一級建築士の三澤智史氏が解説します。

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既存不適格物件の注意点

既存不適格物件は、価格が割安なことが多く魅力的に思えますが、購入にあたっては慎重な検討が必要です。なぜなら、前述したように事業計画の見直しを迫られたり、余計な費用が発生したりすることがあるからです。

 

ここでは、既存不適格物件の注意点を3つ解説します。

 

・融資の可否を確認すること

・既存不適格の内容と対応策を把握すること

・出口戦略への影響を考慮すること

 

融資の可否を確認すること

既存不適格物件では、融資への影響があると考えるべきでしょう。もちろんすべての既存不適格内容が融資に悪影響をもたらすわけではありませんが、金融機関から融資を渋られる可能性は高いと考えるべきです。

 

賃貸経営において融資への影響は、資金計画への影響と同じようなものです。安価だからと自己資金を増やして購入すれば、その後の賃貸経営における事業計画などに悪影響をおよぼす可能性があります。

 

なお、融資条件は物件の状況のほか個人の属性なども重視されます。直近で借入をした直後の融資や、DSCRが規準以下(おおむね1.10倍を上回ることが望ましいとされています)のケースでは、融資を謝絶されるケースがあることも覚えておきましょう。

 

既存不適格の内容と対応策を把握すること

物件について、どのような内容がどの法令に適合しているか否か、仮に既存不適格だった場合、どうすれば是正が可能なのかを費用面含めて把握しておくことが重要です。賃貸経営は中長期にわたることがほとんどで、保有期間中に既存不適格に対する対応を迫られることになるからです。

 

なお、建築基準法によれば、不動産を用途変更したり大規模な改装したりするときには、既存不適格部分を適法に是正することが求められています※。

 

これらのことから、既存不適格がどのような内容なのか、そして不適格事由を解消するにはどの程度の費用がかかるのかを把握しておくことが重要です。

 

出口戦略への影響を考慮すること

既存不適格物件の賃貸経営では、通常の物件よりも出口戦略に気を遣う必要があります。なぜなら、既存不適格物件は相場より安い金額で取引されることが多いからです。既存不適格の部分を現行の基準に適合させれば、物件価格を相場まで引き上げることはできます。しかし、その分の修繕費用を考慮して出口戦略を考えることが必要です。

 

既存不適格物件を取得した場合、再販の難易度を通常の物件より高く見極める必要があります。

 

 

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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