「ブラック企業」でも「ホワイト企業」でもない「プラチナ企業」になるために大事な、上司に求められるたった一つのこと【専門家が解説】

「ブラック企業」でも「ホワイト企業」でもない「プラチナ企業」になるために大事な、上司に求められるたった一つのこと【専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、ハラスメントへの意識が高まり、部下への適切な指導さえためらわれることが増えています。支援型リーダーが求められる一方で、注意すべき場面でも遠慮してしまうのは問題です。一方で、企業も「ブラック企業」「ホワイト企業」から、「働きやすさ」と「働きがい」を両立する「プラチナ企業」へとシフトする時代。では、リーダーはどう部下と向き合うべきか。大和ハウス、トヨタを経て現在はプロコーチとして活躍中の林英利氏の著書『いい質問が部下を動かす』(三笠書房)から、そのヒントを探ります。

なぜ「部下を叱れない」のか?

最近、管理職の方たちに話を聞くと、部下にどう接するかについてほとほと困っているようです。

 

「ハラスメント、ハラスメントと会社がうるさいので、部下に注意もできない」と。その結果、部長も課長も必要以上に部下に遠慮しているように見えます。

 

お客さんを目の前にして「名刺を忘れました」と言う部下を指導することもできずに、笑ってその場をごまかしたという話を聞いて驚きました。

 

そこで厳しく叱ろうものなら、「ハラスメントで訴える」と言いだす部下がいるというのですから、どうしようもありません。

 

もちろん、パワハラ、セクハラは絶対に許してはいけません。それは当然のことです。

 

ただ、「ハラスメントを許さない」という意識が高まりすぎて、仕事でミスをした部下に適切な指導をすることすらはばかられるような状況にあるとしたら、むしろ悪い方向に進んでいるのではないかと私は思うのです。

 

私は、「この時代、『令和型』のリーダーシップがないと管理職は務まらない」と考えています。「令和型」のリーダーシップというのは、いわゆる支援型の「サーバント・リーダーシップ」です。

 

上司は部下たちを前面に出し、彼らを後押しすべく行動します。積極的に部下と関わり、部下に奉仕しながら、進むべき方向を指し示すという支援型のリーダーシップです。

 

一方、「昭和型」のリーダーシップというのは、リーダーが先頭に立ち、旗を掲げ、目標を指差して、指示や命令を出しながら「俺についてこい!」と部下を引っ張っていくやり方です。

 

「令和型」と「昭和型」にはこのような違いがあるのですが、令和型だからといって部下を叱ることができないというのは、間違っているように思います。

 

今、ビジネスの世界は1にも2にもスピードが求められます。素早く次々と決断を下していかなくてはなりません。昭和のアナログな時代は、何かが起きたとき、ひとまずリーダーの判断を仰ぎ、その決断を待つだけの猶予がありました。

 

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しかし、今の世界ではその悠長さは通用しません。現場の人たちが判断して、スピーディーに物事を進めていく必要に迫られたからこそ、上司から現場の部下への権限移譲の重要性が高まり、支援型のリーダーシップが求められるようになりました。

 

そのような流れのなかで、最近の現場の現状を垣間見るにつれ、令和に失われてしまったもの、つまり「昭和型」リーダーシップの中にも、現代に取り入れるべきもの、取り戻すべきものがあるのではないか。今、それを考える時期にきているのではないかと思うようになったのです。

 

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※本連載は、林英利氏の著書『いい質問が部下を動かす』(三笠書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

日本企業は老いたのか 失われた30年を振り返り、未来を展望する

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岩﨑 尚人

日本能率協会マネジメントセンター

リーマンショック、東日本大震災などを乗り越えた先にやってきた新型コロナウイルスの大流行。この現実と直面した企業や否応なく変革を進め、働き方は大きく変わった。真に強い企業とは、変わらないために思い切った変化を遂げ…

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