富裕層にも、富裕層を目指す人にも読んでほしい
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詐欺に遭うのは高齢者とは限らない
詐欺の被害に遭うのは高齢者が多いようです。平均すれば結構な老後資金を持っていますし、判断力の鈍った人も多いでしょうから、仕方ありませんね。しかし、詐欺に遭うのは高齢者だけとは限りませんから、それ以外の人も気をつけましょう。
若者は、平均すればそれほど金は持っていませんが、警戒心が薄いので、詐欺師から見ると騙しやすいようです。自分も周囲も詐欺の被害に遭ったことがないので、警戒心を持ちにくいのでしょうね。
余談ですが、若者には詐欺の被害者以上に、加害者になってほしくありません。気楽に「闇バイト」を引き受けると、一生を棒に振ることになりかねません。詐欺の被害に遭うよりはるかに悲惨な結果となりかねないので、絶対に止めましょう。
詐欺に遭うのは愚かな人とは限りません。むしろ自信があって自尊心が強い人の方が危ない、という面もあるのです。「さすがにお目が高い!」「すでにご理解いただいているように…」などといわれると、確認したいことがあっても恥ずかしくて確認できず、わかったふりをして契約してしまう、といったことがあるようです。
当然ですが、儲けようとガツガツしている人は詐欺の被害に遭いやすいでしょうね。詐欺師からアプローチしなくても、自分から儲かりそうな話を探し回っているわけですから。
「必ず儲かる話」は「必ず損する話」
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という言葉があります。儲けようと思えばリスクを覚悟する必要がある、ということです。「必ず儲かる話」などないのです。絶対ないとはいいませんが、そんな話があってもプロたちが先に確保してしまうので、読者の目に触れることはないでしょう。草原で昼寝をしている読者のところまで、虎の子が歩いてくることはありえません。つまり、「必ず儲かる話」は「必ず損する詐欺案件」なのです。
筆者の好きな言葉に「相手の立場で考える」があります。将棋の対局では、自分の好きな駒より相手が嫌がりそうな手を考える、就活生は採用担当者がどんな学生を欲しているかを考える、原稿の書き手であれば読者がどんなものを読みたがっているか考える…といった具合です。
そこで、
「自分が必ず儲かる商品を持っていたら、見知らぬ人に譲ってあげるだろうか?」
と考えてみたところ、「この人はよほどのお人好しでなければ詐欺師だろう」という考えに至った、というわけです。
怪しいと思ったら調べてみよう
「荷物をお届けにあがりましたが、ご不在でした」といったメッセージが届き、「以下のURLからお手続きください」と記してあると、ついクリックしたくなりますね。でも、落ち着きましょう。
一手間かけて、配達業者のホームページから連絡先を入手して連絡してみましょう。配達業者名がわからないなら、その時点で詐欺である可能性が高いので無視しましょう。
筆者の経験をご紹介します。「新聞配達店です。年末年始に旅行する場合は下記まで電話ください。新聞受けに新聞がたまっていると、泥棒に留守だと知られてしまい危険です」というビラを受け取りました。そこで、新聞配達店のホームページで電話番号を入手し、電話しました。もしもそのビラを配ったのが窃盗団だとしたら、わざわざ不在の予定を教えてあげるなんてまっぴらですから。
孤独な高齢者は気をつけよう
孤独な高齢者は詐欺に遭いやすい、ともいわれています。詐欺師は、そんな高齢者に近づいて、親切にして、信頼を得てから財産の話をする…という手口をとるようです。
もしも読者の老親がひとり暮らしをしているなら、毎日電話してあげましょう。詐欺予防のために親孝行をするものではありませんが、親孝行には詐欺予防の効果が大きいことも間違いないようですよ。
「常時留守番電話にしておく」という選択肢も
詐欺師が高齢者にコンタクトするツールとしては、固定電話が重要だそうです。そうであれば、常時留守番電話にしておく、というのも選択肢ですね。詐欺師はわざわざ留守番電話にメッセージを残すことは無いでしょうから。
一方で、本当に用のある人はメッセージを残すでしょうから、実害は生じないはずです。それでいて、容易に詐欺が予防できるなら、素晴らしいことです。
何かあったら188番(イヤヤ)と覚えておこう
110番、119番は誰でも知っているでしょうが、もうひとつ188番も覚えておくとよいでしょう。消費生活センターなどにつながるので、消費等に関する幅広い質問に答えてくれるはずです。
「こんな儲け話を持ちかけられているのだが」といえば「最近似たような手口の詐欺が増えているので、気をつけてください」などと教えてくれるでしょう。
詐欺の被害に遭ってから相談するのではなく、「詐欺かもしれない」と思ったときに、気楽に相談してみることですね。
本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。
筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。
塚崎 公義
経済評論家
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