株式投資、初心者でも実践できる「リスクをもってリスクを制す」効率的な買い方とは?【経済評論家が解説】

株式投資、初心者でも実践できる「リスクをもってリスクを制す」効率的な買い方とは?【経済評論家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

投資をする以上、それなりの結果を得たいというのは、だれもが当然思うことです。しかし、現実はシビアで、なかなかよい商品は探せません。しかし、プロ同士が火花を散らす株式投資に、一般人でも儲けられる「スキマ」があるとしたら? 経済評論家の塚崎公義氏が興味深く実践的な買い方をアドバイスします。

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「上場株式への投資は、期待値がプラス」とは、どういう意味?

当然ですが、詐欺商品を買えば必ず損をしますし、投資初心者が割高な不動産をつかんでしまえば損する可能性が高くなります。一方で、上場している株式なら、プロ同士が売り買いしているので、おおむね妥当な価格が形成されている場合が多いでしょう。そうであれば、リスクがあるぶんだけ「期待値はプラス(確率的には儲かる)」のはずです。

 

なぜリスクがあると「株式投資の期待値はプラス」なのでしょうか?

 

株価の変動は「企業業績の変動」と「それ以外の変動」で起こるので、分けて考えてみましょう。

 

まず、企業業績の期待値はプラスです。全上場企業の決算を長期にわたって見ると、平均はプラスになっています。理由は「企業経営者が臆病だから」です。10儲かるか10損するか五分五分だったら、設備投資をしないのです。12儲かるか10損するか五分五分なら投資する、という経営者が多いので、11儲かるか10損するか五分五分だ、という設備投資機会は簡単に見つかるのです。

 

企業業績以外の要因についても同様です。株式投資のプロたちが臆病だから、期待値が大幅プラスの投資しかしないため、期待値が小幅プラスの投資案件が容易に手に入るのです。

ハイリスク案件ほど、利益の期待値が「飛躍的に高くなる」ワケ

経営者たちや投資家たちは臆病なので、リスクを嫌います。したがって、リスクの高い案件ほど利益の期待値が飛躍的に高くなります。新興ハイテク株の投資と従来型老舗企業への株式投資では、前者のほうがリスクが高いので、利益の期待値ははるかに高くなります。したがって、小遣いでバクチをやりたいなら、一銘柄に投資するのもよいでしょう。

 

しかし、小遣いでのバクチとはいえ「リスクは小さいほうよい」と思うなら、多くの銘柄の新興ハイテク企業の株を少しずつ買えばよいでしょう。全部が倒産する可能性は高くないので、期待値の高さを享受しながらリスクを抑えることができるからです。「新興ハイテク株ファンド」といった投資信託があれば、それを買うと一層多くの銘柄に投資したのと同じ効果が得られるかもしれません。

反対のリスクを併せ持てば、リスクが消える

ハイテク企業の株価がそれぞれ別々の動きをするならば、すべての株が暴落する可能性は非常に低いでしょうから、多くの銘柄を持つことの意義は大きいといえるでしょう。まあ、ハイテク株バブルが崩壊する可能性はゼロではありませんが。

 

もっとも、さらにリスク低減を図る方法もあります。それは、反対のリスクを組み合わせることです。輸出企業の株は、ドル高なら上がり、ドル安なら下がる傾向にあります。投資家たちはドル安のリスクを考えて、輸出企業の株を避けるので、株価は割安に放置されやすくなります。同様に、輸入企業の株価もドル高のリスクを考えて割安に放置されやすくなります。

 

それならば、輸出企業株と輸入企業株を両方持てばよいのです。ドル高ならば輸出企業株が値上がりするので、輸入企業株が下がっても気になりませんし、ドル安ならば反対の動きをするので、やはり気になりません。結局、割安の株を2つ購入してリスクなく配当収入等が得られるのです。

「自分が抱えているリスク」を把握することが重要

輸出企業に勤めている人は、ドル安だと会社の業績が悪化してボーナスが減るかもしれませんから、輸入企業の株を持っておくことがリスクを減らしてくれます。ドル高だと輸入企業の株が値下がりして損をしてしまいますが、ボーナスが増えるでしょうから、気にならないでしょう。

 

このように、自分の収入や資産等が持つリスクを把握して、反対のリスクを持った資産を持つように心がけることは重要です。

 

たとえば、住宅購入資金を貯めている人は、住宅価格が高騰してしまうといつまでも家が買えないかもしれません。そんなときには、住宅を100分の1ずつ買いたいですね。でも、それは不可能なので、代替案を考えましょう。たとえば、貯めた住宅資金で不動産企業の株を買うという手があります。不動産価格が高騰すると多額の頭金が必要になりますが、不動産企業の株価も上がっているでしょうから、頭金が払える可能性が高いでしょう。

 

もっとも、不動産企業の株よりもREITの方が住宅価格の動きと近い動きをしそうですから、住宅資金が貯まり次第、REITを少しずつ買っていく、という選択肢を検討してみましょう。住宅価格が値下がりするとREITも値下がりして損をするかもしれませんが、住宅の頭金が少なくてすむのであれば、問題ないでしょう。REITについては、拙稿『インフレ・年金減少…「ゆとりある家計のため、貸家運営で資産運用」はアリか、ナシか【経済評論家が回答】』を併せてご参照いただければ幸いです。

 

以下は余談です。日常生活で「リスク」というのは損をする可能性のことを意味しますが、学者の定義するリスクは「儲かるか損するかわからないこと」を意味します。つまり、学者の定義では詐欺商品を買うことのリスクはゼロなのですね。必ず損するわけですから(笑)。

 

本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

 

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

 

 

塚崎 公義
経済評論家

 

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