実体経済の動向
生産・投資・外需
生産の動向について、前年同月比の伸び率(実質)をみると、鉱工業部門では、12月に伸びが加速した(図表5)。政策支援や堅調な輸出を背景に年初来高い伸びを続けてきたハイテク製造業は、10月から2カ月連続で伸びが低下した後、12月には小幅に改善した。サービス業部門の伸びも、12月に伸びが加速した。交通・運輸・倉庫業や金融業で伸びが高まった。
PMI調査の結果をみると、製造業では、24年12月から2カ月連続で低下し、25年1月には景気の好不況の境目である50を下回った(図表6)。サービス業では、24年12月に上昇したものの、25年1月には低下し、均してみれば50をわずかに上回る水準での横ばい推移となっている。同調査で需要不足と回答する企業の比率は、7月以降具体的には発表されていないが、製造業、非製造業とも、依然として60%超であるとされた。
投資の動向について、固定資産投資の前年同月比伸び率(名目、以下同)は、前月に続き12月も低下した(図表7)。業種別にみると、製造業の投資は、依然高水準ながらも減速を続けている。
設備投資は、5月をピークに減速傾向にあるが、12月は前月から改善した。不動産開発投資は、商業用不動産を中心にマイナス幅が拡大した。インフラ投資は、依然高水準ながらも、11月から12月にかけて低下した。交通・運輸・倉庫業で伸びのマイナス幅が拡大した。
外需の動向について、輸出(ドル建て)の伸びは、12月に加速した(図表8)。国・地域別では、日本向けが前年同月比マイナスとなった一方、米国、ASEAN、EU向けが加速した。駆け込み輸出の影響が強まりつつあるようだ。
財別では、農産品や繊維製品、鉄鋼、機械設備、家電、自動車等の財で伸びの高まりがみられた。他方、コンピュータ・同部品や携帯電話、液晶パネル、半導体等の財では伸びが減速した。輸入(ドル建て)の伸びは、10月から11月にかけてマイナス幅が拡大したが、12月には前年増に転じた。ハイテク関連製品などで伸びが高まった。
消費・家計
消費の動向について、小売売上高の伸びをみると、12月は前月から加速した(図表9)。財の伸びが加速したものの、外食サービスでは伸びが低下した。
一定規模以上企業を対象にした統計で品目別の動向をみると、化粧品の伸びがマイナスに転じたほか、宝飾品で伸びのマイナス幅が拡大した(図表10)。耐久消費財の買い替え支援策の対象となっている家電・AV機器については、12月に伸びが再び高まった。
他方、同じく対象となっている自動車については、伸びが低下した。不動産市場の持ち直しに伴い改善の兆しがみられる不動産関連の財(建築・内装材)の伸びは、前年増は維持したものの、前月から低下した。
家計の状況について、都市部の調査失業率は、11月から12月にかけて小幅に上昇した(図表11)。16~24歳(在学中の学生を除く)の失業率は、卒業シーズンを迎えた7月をピークに低下傾向にはあるものの、依然高水準にあり、若年層の雇用環境は引き続き厳しい状況にある。
消費者信頼感指数は、依然として楽観・悲観の境目である100を下回る水準で推移している(図表12)。雇用・所得の先行き、消費意欲ともに8月を底に10月まで改善を続けたものの、11月には雇用の先行きや消費意欲が悪化した。
不動産市場
不動産市場について、住宅販売面積の伸びは、12月に小幅に低下した(図表13)。住宅販売価格(70都市平均)の前年同月比の伸びは、22年4月以降、33カ月連続でマイナスとなっているが、11月から12月にかけてマイナス幅が縮小した。ピーク(21年8月)時点から、価格は約1割下落している。
供給側の動向に関して、住宅着工面積の伸びは12月にマイナス幅が拡大した一方、住宅竣工面積の伸びはマイナス幅が小幅に縮小した(図表14)。住宅完成在庫面積は依然増加しているものの、5月をピークに伸びが低下傾向にあり、住宅在庫買い取り支援策の効果が表れているとみられる。また、不動産開発資金の伸びは、春先以降、段階的に持ち直す傾向にあり、11月から12月にかけてマイナス幅が縮小している。
財政
財政の動向について、一般会計の主要科目の歳出の伸びは年初来、低下傾向にあったが、10月から12月にかけて顕著な改善を続けている(図表15)。10月に経済対策の一環として発表された歳入減の補填強化の効果によるものとみられる。国債・地方専項債の発行ペースに関して、年初来累計発行額の推移をみると、8月以降、23年を上回る水準となったが、年間の発行予定額に徐々に達するにつれてペースはやや鈍化した(図表16)。
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