2024年12月18日のEIOPA報告書発出時まで※1
2024年7月19日、FWUルクセンブルクは、国内保険委員会(CAA)に対し、ソルベンシーII指令に基づく最低資本要件(MCR)、ソルベンシー資本要件(SCR)、および適格資産による保険負債のカバーに関して国内法で義務付けられている要件を遵守できていないことを通知した。
これを受けて7月23日、CAAは、銀行等に保有されているFWUルクセンブルクの代表的な資産を凍結し、全ての外部への支払いを停止することを決定した。また7月24日、FWUルクセンブルクも、ルクセンブルク地方裁判所に、外部への支払い停止を申請した。
8月2日、ルクセンブルク裁判所は、保険会社が申請した外部への支払い停止を受理し、保険会社の資産と負債の管理を監督する管理者を任命した。任命された管理者は、FWUルクセンブルクの全ての行為と決定について、書面による承認を与える必要がある。支払い停止期間は最長6にヵ月に制限されている。
10月22日、FWUルクセンブルクはCAAに対し、MCRの適用範囲要件への準拠を回復したことを正式に通知した。ただしこの比率の計算の基礎となる過程やSCRの計算に影響を与える過程については、この時、特に以下のような不確実性が残っていた。
・再保険契約を解除する再保険者の契約上の権利
・不適切な販売を受けた保険契約者に対する補償計画の実施にかかる費用の評価
これらの不確実性については、MCRの正確なカバー率を評価するために、CAAにより分析された。
SCRおよび適格代表資産により保険負債がカバーされていること、といった要件は、遅くとも2025年1月19日(すなわち2024年7月19日から6ヵ月以内)に満たされる必要があり、CAAによる評価を受けている。
12月1日、ミュンヘン地方裁判所(ドイツ)がFWU AGの破産手続きを命じ(筆者注:上記のルクセンブルクにおける評価との関係は、ここでは記載されていない)、破産管財人を任命した。
しかし、FWUグループの中のもう一つの子会社であるFWUオーストリアは、オーストリア金融市場監督局(FMA)の監督下にある。FMAは、グループ監督機関(CAA)とFWUオーストリアの経営陣と緊密に連絡を取り合っており、FWUオーストリアの継続的な業務を確実にし、その保険契約者を保護するために措置を講じている。この時点でFWUオーストリアは破産しておらず、通常の事業活動を続けている。
