元公務員の父が退職金と貯金を投げうって始めた賃貸事業は順調だが…それでも50代姉妹が「80歳母の遺産1500万円」の相続に前向きになれない〈ある一家〉の事情【相続の専門家が解説】

元公務員の父が退職金と貯金を投げうって始めた賃貸事業は順調だが…それでも50代姉妹が「80歳母の遺産1500万円」の相続に前向きになれない〈ある一家〉の事情【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

亡くなった母が父親の借入の連帯保証人だった場合、相続はどのように行えばよいのでしょうか。本記事では、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が事例をまじえて、連帯保証がある場合の相続の仕方について詳しく解説します。

相続放棄をすると自分の子どもや叔父叔母にも巻き込む

美佳さんも妹も、賃貸事業に不安があり、連帯保証を引き継ぐのも不安ということがご相談の内容でした。母親の相続を放棄する選択肢もありますが、そうすると最初から子供がないとなり、自分たちの子どもが代襲相続人となり、相続権が移ります。連帯保証も子どもたちに引き継がれることになるのです。

 

代襲相続人である自分たちの子どもも相続放棄すると、亡くなった母親のきょうだいである叔父や叔母に相続権が移ります。

 

よって事情を知らない子どもや叔父叔母にその実情を知らせる必要が出てきます。連帯保証を引き継がないといけない事情がわかると次は相続放棄の手続きが必要となり、費用や時間もかかるということです。よって安易に相続放棄を選択するのではなく、現実的な対処法を選択する方がいいことをアドバイスしました。

連帯保証を解消する方法は売却、住みかえ

連帯保証とは借入をした本人(債務者)と連帯して返済する責任を負う役割のことです。けれども、これは借入金に関しての責任ですので、借入金を返済することで連帯保証から解放されるのです。

 

父親が賃貸物件を売却し、売却代金で借入残をすべて返済してしまえば、連帯保証はなくなるということですので、売却をお勧めしました。

 

父親は一人暮らしになったということもあり、介護やサポートが必要になると子どもの美佳さんと妹の役目となるのですが、2人ともすぐに駆け付けられる距離ではないといいます。ならばこの機会にビルを売却し、介護やサポートがついている高齢者住宅に住み替えることでいろいろな不安が解消できます。

 

美佳さんは、父親と妹と話をして、相続放棄ではなく、借入返済の方向で進めていきたいと言って帰られました。売却することで連帯保証も、介護の不安も解決できます。

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