父親の相続が心配
真由子さん(43歳女性)が相談に来られました。
父親は82歳ですが、病気が見つかり、手術して、治療をしてきました。現在は退院して落ち着いているといいますが、年齢的なことと病気の再発もあるかもしれず、相続のことが心配になっているといいます。
70代の母親と2つ下の妹がいるので、相続人は3人です。円満な相続が希望ですが、気がかりなことは妹のことです。
父親の財産
現在の父親の財産を確認すると、自宅の土地、建物約2,500万円の他に、アパートも所有しており約5,000万円、空地約2,500万円と3つの不動産を所有しています。
金融資産は500万円しかなく、生命保険にも入っていません。合計すると1億500万円となります。不動産に比べて金融資産が少ないことには、ある事情があるといいます。
父親は独身の妹を心配し、妹の言うまま、退職金や家賃収入で貯めたお金を渡しており、すでに5,000万円ほど贈与してきているといいます。妹は父親からのお金で、都心で1人暮らしをして使ってしまっているため、父親はもうこれ以上は妹には渡さないと言ってるそうです。
真由子さんが気付いたときには、時すでに遅し。妹は「海外旅行や買い物で使った」と言っていますが、「実はホストにつぎ込んだのでは?」と真由子さんは妹を疑っています。というのも、妹はSNSで頻繁にホストクラブに行っている様子を投稿していたのです。真由子さんが妹のホスト通いについて父親に告げたところ、「情けない」と父親は涙を流したということです。
遺言書は必須
父親の心配は妹に不動産を渡しても売ってなくしてしまうだろうから、真由子さんに託したいということなのです。ただし、現在は賃貸住まいの妹ですが、仕事ができなくなったら家賃も払えないことも想定できるため、住むところに困らないように家は妹に相続させるという気持ちのようです。真由子さんは「この期に及んでまだ妹の心配をしているんだ」と内心思ったそうですが黙っていました。
家賃が入るアパートと空地にしている土地は真由子さん相続し、家賃は母親が現在のうちは生活費とし、自宅は母親が住めるような配慮して妹名義とすれば遺留分に抵触しない割合になります。
いずれにしても父親が遺言書を作成することは必須となるため、準備してもらうようにアドバイスしました。それが父親にも安心感になります。
全財産を真由子さんにとすると妹から遺留分侵害請求をされることもあるため、自宅を妹にとすることは十分な配慮であると判断できます。 すでに相当な現金の贈与を受けていることでバランスがとれるため、円満な相続になるといえます。
相続実務士のアドバイス
できる対策
・父親に公正証書遺言を作成してもらう
・遺留分侵害額を確認した配分とする
注意ポイント
母親の特例が大きいのですが、妹が家を相続すると小規模宅地等の特例が使え、 賃貸物件でも使えるため、母親が住めるような配慮をし、配偶者居住権を設定した内容も検討して決めるようにする
曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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