亡くなった母が父親の借入の連帯保証人だった場合、相続はどのように行えばよいのでしょうか。本記事では、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が事例をまじえて、連帯保証がある場合の相続の仕方について詳しく解説します。
建築費は1億5,000万円
父親が土地を購入したのは公務員の仕事を定年退職したときです。退職金と貯金を出して土地は買えたようで、建築費は土地を担保にしたと聞いています。そのときに母親が連帯保証人になったということです。
美佳さんと妹は、2人とも嫁いで実家を離れていますので、父親が土地を買って賃貸ビルを建てることなど決まってから知らされたくらいですので、父親と母親が2人で進めた事業だと言えます。
今回、母親が亡くなったことを機に、確認すると建築費の借入は当初は1億5,000万円あり、25年経過した現在の借入残は5,000万円程です。返済期間はあと5年ありますが、ビルと元自宅の家賃収入で返済できています。
父親の賃貸事業は?
美佳さんと妹は母親の相続について、相続放棄をしたほうがいいだろうか? というのが相談の内容でした。母親の財産は預金1,500万円程。母親独自の借入はないのですが、父親の借入の連帯保証人になっていることが不安だといいます。
借入金の返済は月額、約60万円。家賃収入は自己使用以外の部分が満室稼働している場合は月額、約100万円あり、特に問題なく返済していけるバランスでスタートしています。その上に元自宅の家賃15万円が入っていますので、余裕はあると言えます。
しかし、築25年となり、最近では店舗に2か所空室があり、住居の11世帯でも3室が空室となるなど、賃貸収入が減っていることが不安材料だといいます。
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®
株式会社夢相続 代表取締役
一般社団法人相続実務協会 代表理事
一般社団法人首都圏不動産共創協会 理事
一般社団法人不動産女性塾 理事
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書86冊累計81万部、TV・ラジオ出演358回、新聞・雑誌掲載1092回、セミナー登壇677回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2025年版 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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