亡くなった母が父親の借入の連帯保証人だった場合、相続はどのように行えばよいのでしょうか。本記事では、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が事例をまじえて、連帯保証がある場合の相続の仕方について詳しく解説します。
連帯保証がある場合の相続の仕方
亡くなった母親が連帯保証人であった場合、その保証債務を相続人である子どもが引き継ぐ必要があるかどうかを以下に説明しておきましょう。
連帯保証債務は原則相続される
1. 基本原則
・連帯保証債務は、被相続人(お母様)の債務とみなされ、通常は相続人に相続されます。
・これは、被相続人が生前に負っていた金銭債務やその他の負債と同様に扱われるためです。
2. 相続する場合の負担範囲
・連帯保証債務も他の債務と同じく、相続人が引き継ぐ負担には制限がありません。保証債務の全額について返済義務を負います。
相続放棄をすれば保証債務は引き継がない
1. 相続放棄の効果
・相続人が相続放棄を行うと、法律上、最初から相続人ではなかったとみなされます(民法第939条)。
・そのため、連帯保証債務も含め、被相続人が残したすべての財産や負債を引き継がなくなります。
2. 手続き
・相続放棄は、被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所に申立てを行う必要があります。
・相続放棄を希望する場合、相続財産や負債の内容を早めに確認することが重要です。
注意点
1. 相続放棄をしない場合のリスク
・相続放棄をしない場合、連帯保証債務を相続することになり、主たる債務者が返済を滞ると相続人に返済請求が来る可能性があります。
2. 複数の相続人がいる場合
・相続放棄をした人は負債を相続しませんが、他の相続人が放棄しなかった場合、その人が連帯保証債務を引き継ぐことになります。
・全員が相続放棄すれば、負債は相続人全体に引き継がれません。
3. 限定承認
・相続放棄の代わりに、「限定承認」という選択肢もあります。
・限定承認を行うと、被相続人の財産の範囲内で負債を返済する義務を負い、それを超える債務については責任を負わない仕組みです。
・ただし、限定承認は相続人全員で行う必要があります。
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®
株式会社夢相続 代表取締役
一般社団法人相続実務協会 代表理事
一般社団法人首都圏不動産共創協会 理事
一般社団法人不動産女性塾 理事
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書86冊累計81万部、TV・ラジオ出演358回、新聞・雑誌掲載1092回、セミナー登壇677回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2025年版 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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