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孫への「月2万円のお小遣い」をやめた日
「毎月のお小遣いをやめたら、LINEが来なくなったんです」
そう話すのは、東京都内で一人暮らしをする佐藤和子さん(72歳・仮名)。夫を7年前に亡くし、現在の収入は月14万円ほどの年金のみ。築42年の分譲マンションで暮らし、住宅ローンは完済しています。
毎月の支出は、マンションの管理費と修繕積立金で2万6,000円、食費3万円、光熱費1万5,000円、医療費1万2,000円、通信費や日用品などを含めると約12万円。貯蓄は別にあるとはいえ、決して余裕がある生活ではありませんでした。
それでも小学4年生の孫には長女夫婦を通して月2万円のお小遣いを渡してきたといいます。最初は孫の習い事が理由でした。
「ピアノ代が思ったより高くて」
長女からそう相談されたのがきっかけです。
「私が少し援助してあげる」
軽い気持ちでした。その後も「今月は塾代が」「修学旅行の積立が」「子どもの靴がすぐ小さくなる」などと聞けば、お金を振り込んだり、現金を直接渡したりと、援助することもしばしば。長女からは毎週のようにLINEが届きました。
「いつもありがとう」
「本当に助かる」
孫から送られてくる笑顔の写真を見るたびに、和子さんは必要とされている実感を持っていました。厚生労働省『2024年 国民生活基礎調査』によると、「所得の100%が年金」という高齢者世帯は全体の4割。「80%以上」を含めると6割弱になります。和子さんの生活の土台も年金だけでしたが、「あと2万円くらいなら」と考えてしまったそうです。
転機は昨年でした。電気代や食品価格が上がり、管理組合から修繕積立金の値上げも通知されました。さらに白内障の手術を受け、医療費も想定より膨らみました。2,000万円近くあった老後資金は、夫の入院や葬儀、自宅設備の更新などで残高は1,200万円ほどまで減っていました。万が一のことを考えると、これ以上取り崩すのは避けたい――そう考えた和子さんは、長女に電話しました
「悪いけれど、お小遣いは今月で終わりにしたいの。私も年金だけだから」
長女は少し驚いた様子でしたが、「分かった。無理しなくていいよ」と責めるようなことは言わなかったとのことです。