亡くなった母が父親の借入の連帯保証人だった場合、相続はどのように行えばよいのでしょうか。本記事では、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が事例をまじえて、連帯保証がある場合の相続の仕方について詳しく解説します。
母親が亡くなって相続に
美佳さん(54歳女性)の母親が亡くなり、「これから相続の手続きが必要だが、相続放棄をしたほうがいいだろうか?」と相談に来られました。
美佳さんの母親は80歳で亡くなりましたが、相続人は父親と子どもが2人。長女の美佳さんと妹の由佳さん(50歳)です。基礎控除は4,800万円です。母親の財産は預金のみ、その範囲内に入ると言います。美佳さんの心配は相続税ではなく、連帯保証人の件だと言うのです。
母親は父親の借入の連帯保証人になっている
父親は20年前に賃貸事業を始めると言って、80坪の土地を購入して、賃貸ビルを建てています。賃貸ビルは1階が店舗4室、2~4階が2LDKの住居12室です。父親が1階の1室をオフィスとして使用し、2階の1室を自宅として夫婦で住んでいました。
父親は別の土地に祖父から相続した自宅がありましたが、そちらは賃貸に出し、別荘感覚で海に近い立地を探したようです。母親は、その建築費の借入の連帯保証人になっているといいます。
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®
株式会社夢相続 代表取締役
一般社団法人相続実務協会 代表理事
一般社団法人首都圏不動産共創協会 理事
一般社団法人不動産女性塾 理事
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書86冊累計81万部、TV・ラジオ出演358回、新聞・雑誌掲載1092回、セミナー登壇677回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2025年版 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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