(※写真はイメージです/PIXTA)

マンション管理組合の理事をしていると、さまざまなトラブルが発生するでしょう。なかには、管理費を滞納している住民がいるといったこともよく聞くトラブルの1つです。住民とはできるだけ円満な解決を図りたい……。そこで今回は、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、マンション管理費の滞納トラブルについて、川畑貴史弁護士が詳しく解説します。

管理費を9ヵ月間滞納する住民

相談者はマンション管理組合の副理事長を務めています。現在、マンション管理費の9ヵ月間の滞納者に頭を悩ませています。管理組合が連帯保証人を求めるべきなのかも迷っている観点です。そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

 

(1)この滞納者の対応について、どのような法的措置が適切でしょうか。

(2)今後同様の事態に備えた予防策を教えてください。

まずは直接交渉を、難しければ訴訟提起も視野に

滞納者への対応として、まずは、管理会社の担当者や理事長などが直接自宅を訪問して支払いを求めたり、管理組合としての強い意思表示を示すために内容証明郵便などで支払いを求めたりすることになります。

 

内容証明郵便では、いつまでに管理費の支払いがされなければ、訴訟提起等の法的措置を講じる旨や弁護士費用等の請求も行う旨を記載して、強いプレッシャーを掛けることになります。

 

内容証明郵便は、弁護士名義で送付したほうが与えるプレッシャーとしては強くなりますが、弁護士費用も掛かります。そのため、まずは管理組合理事長名義で送付して、それでも応答がない場合には弁護士に依頼して弁護士名義で送付することも選択肢に入ってくるでしょう。

 

それでも支払いがない場合には、訴訟提起が必要になってきます。訴訟提起は、総会の決議を得てすることが原則となりますが、規約で理事会の承認をもって総会の決議に代える特別の定めがある場合には、理事会の承認で可能となります。訴訟提起をする場合には、やはり弁護士に依頼して解決を図るケースが一般的となりますが、これにもやはり弁護士費用の負担が発生する問題はあります。

 

訴訟提起後、裁判所における和解などで回収ができることもありますが、支払う意思が一切見られない場合には、判決に基づき、滞納者に強制執行が可能となります。

 

強制執行としては、滞納者の給与や預金口座の差押え、賃借人がいる場合は賃料の差押えなどが多いですが、自動車や家具の差押えを行ったり、物件自体に担保がついていない場合は、競売請求を行うなどして回収することになります。滞納者に資力がなく、物件自体に担保が付いている場合には、滞納者からの回収が難しいケースもありますが、物件を任意売却や競売で取得した買受人にも滞納分の請求は可能ですし、連帯保証人がいれば連帯保証人に連絡することで、滞納者が支払ってくるケースがあったり、連帯保証人に資力があれば回収ができたりするケースもよくあります。

 

そのため、回収可能性を上げるためには、請求対象者を増やすことが効果的であり、連帯保証人を付けることは非常に効果的な方法といえます。

 

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