投資で億り人となった26歳無職のもとへ税務調査がやってきて…「富裕層専門・ベテランの調査官」から渡された引導【税理士が解説】

投資で億り人となった26歳無職のもとへ税務調査がやってきて…「富裕層専門・ベテランの調査官」から渡された引導【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

令和5年に発表された国税庁の調査によると、富裕層における申告漏れの所得金額の総額は980億円と、過去最高です。これは、資産運用の多様化、投資内容の複雑化などが影響しているようで……。本記事では、Aさん(26歳/無職)の事例とともに、投資の申告漏れが原因の税務調査について木戸真智子税理士が解説します。※プライバシーのため、実際の事例内容と一部改変しています。

25歳の若さでFIRE

最初はお手ごろに投資できるような身近な銘柄や投資信託などをコツコツと投資をしていき、高校生のときには400万円まで株式資産が膨らんでいました。

 

そして高校卒業後はフリーターをしながら、お給料のほとんどを株式投資につぎ込むようになりました。実家からは出ていなかったため、家賃や食費はかかりませんでした。多くはインデックス投資でコツコツを毎月つみたてていましたが、ある程度の資産になってくると海外の株式や色々な証券会社で口座開設をして、投資を楽しむようになっていました。


そうこうしていると20歳を過ぎるころには株式の資産は数千万円に。そこで、この資金を元手に、これまでの投資を続けながら、未公開株式やエンジェル投資にも挑戦してみようと思うようになりました。

 

皆さんご存じのように、証券会社で口座開設をすると一般口座と特定口座があり、特定口座は源泉徴収ありと源泉徴収なしの2種類があります。そしてこの源泉徴収ありを選択すると確定申告は必要ないのですが、場合によっては確定申告をするとメリットがあることがあります。それは損益通算ができるからです。

 

そして、うっかりしやすいのが特定口座でも源泉徴収無しの場合には、当然確定申告をする必要が出てきます。

 

Aさんはこの時点でたくさんの口座を開設していました。特定口座だけでなく一般口座もあり、分散投資をするにつれて複雑になっていきました。

 

そんななか、Aさんはエンジェル投資をすることにしました。エンジェル投資は特定中小会社に投資することで税制優遇を受けられるものです。この税制優遇は税制優遇AとBの2種類あり、課税所得から寄付金控除と同じように控除が出きる方法と株式の譲渡益から控除ができる方法があります。Aさんはこの株式譲渡益から控除ができるというところにメリットを感じ、値上がりが期待できる株式を売却予定だったこともあり、そのタイミングでエンジェル税制を利用することにしました。

 

それから数年度、Aさんは順調に株式投資で資産を増やし、それとともにエンジェル税制の投資もいい投資先があれば投資をしていました。

 

そんな風に投資の生活を続けて、ついに25歳にしてFIREを実現することができました。中学のころから、なりたい職業というものにピンとこなかったAさんにとっては、理想の生活そのものでした。

 

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