マイナンバーの紐づけにより、税金の申告漏れが発覚しやすく
令和5年11月に国税庁より公表された令和4事務年度の所得税および消費税調査等の状況によると、株式などの譲渡所得の申告漏れが約425億円にものぼっています。
マイナンバーの紐づけにより、申告漏れも容易に把握できるようになってきているのです。
また富裕層に対する調査状況では、申告漏れの所得金額の総額は980億円と、過去最高となっております。これは資産運用の多様化、特に海外投資などで、投資内容も複雑になり、申告漏れも起こりやすくなっていることも要因となっています。富裕層を担当する特別国税調査官も配置されており、富裕層をターゲットにした税務調査も増加傾向にあります。
ここでひとつの事例をご紹介します。
不登校だった少年が株式投資を始めるまで
26歳のAさんは、中学のころ、不登校気味になっていました。学校に行かずに家にいるあいだは、ネットの世界にはまってしまい、一日中、ネットをしていることも多くなっていました。Aさんの両親は心配をして、Aさんを家から外に出す方法をいろいろ試みてみたものの、Aさんの状況は改善することがなく、悶々とした日々を過ごしていました。
そんなとき、当然、進学の話にもなったところ、Aさんは高校には進学しても、将来、会社員として働く毎日を送るのは嫌だと思うようになりました。というのもAさんの父親は証券会社に勤めており、朝は早く、夜は遅く、非常に多忙な生活をしており、家にいるときは疲れてずっと昼寝をしているというような状況でした。父親のことは尊敬するけれど、将来、そんなふうになりたいかというとなんとも言えない気持ちになっていました。
そんなふうに将来についても明るい未来を描けない状況のなか、父親が証券会社に勤めているということも影響してなのか、株式に興味を持つようになりました。それからというものネットで株について、いろいろと調べるようになり、株式投資に興味を持つようになりました。
そしてAさんは中学3年生のころ、親にお願いをして貯めてきたお年玉30万円で株式投資をすることにしました。
両親も、笑顔もなくただ毎日を家で過ごしていたAさんが初めて自分のやりたいことを言う姿をみて、なんでもいいから本人のやりたいことをやることで、きっかけになればという気持ちになり、株式投資をすることを容認することにしました。
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