生活者と直接つながることで新たなサービスや体験価値を共創していく…コミュニティ活用の先駆者「花王」が目指す先とは【対談】

生活者と直接つながることで新たなサービスや体験価値を共創していく…コミュニティ活用の先駆者「花王」が目指す先とは【対談】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「豊かな共生世界の実現」を掲げ、多くの人々の生活に寄り添う「花王」。生活者の多様化するニーズに合わせて商品を開発し続けるために、自社で運営するコミュニティ「My Kao メンバーサロン」を活用しています。本記事では『コミュニティドリブン経営 ファン起点で広げるビジネスの新潮流/著者:小父内信也氏』(幻冬舎)より一部抜粋し、花王がどのようにコミュニティを活用しているのかを対談形式でご紹介します。

10年前も今も変わらぬコミュニティ運営の「課題」

小父内 約10年前からコミュニティを運営しているというのは先進的ですね。その当時抱えていた課題は今と同じだったのでしょうか?

 

岡田 今と同じでしたね。当時すでにインターネットやSNSが浸透し、生活者の価値観・購買行動のパターンが多様化・複雑化してきていたので、生活者・ファンと直接つながれるコミュニティを活用し、生活者理解や共創に取り組んできました。

 

小父内 今のようにツールも整っていない当時、コミュニティを始めるのは大変だったと思います。やはり双方向のコミュニケーションということが重要ですよね。

 

岡田 弊社は「花王ウェイ」という企業理念を掲げており、その中のビジョンに「人をよく理解し期待の先いく企業に」という言葉があります。生活者とつながり続けることで、その人の生活を全体から捉え、その人となりや価値観をしっかりと理解した上で商品・サービスを開発することが重要と考えています。

 

その実現のために、新たに「My Kao」という双方向デジタルプラットフォームを2022年12月に立ち上げました。「My Kao」では、生活者により深く商品やブランドを理解していただいたり、信頼できる情報をオウンドメディアとして発信していく企業責任があるとの考えから、毎日のくらしに役立つ情報を発信しています。そして、双方向コミュニケーションを実現する機能のひとつとして、「My Kao メンバーサロン」という会員様と直接対話ができるコミュニティを2023年9月にプレオープンしました。

コミュニティを通じて、生活者理解と共創価値を最大化

小父内 新たに開設した「My Kao メンバーサロン」誕生の経緯、狙いについて教えてください。

 

岡田 従来のコミュニティで培った共創ノウハウがあったので、さらにスケールアップさせることが必要だと考えました。従来は我々のような推進部門が事務局となって事業担当者と会員様の間をつないでいましたが、「My Kao メンバーサロン」では新たに「ROOMオーナー制」を導入しました。事業担当者自らがROOM(個々のコミュニティ)のオーナーとなって会員様とリアルタイムに対話をすることで、スピーディな生活者理解と共創価値の最大化が期待できると考えました。

 

個々のROOMの共創目的や世界観も、事業担当者が自由に設定できるようにしました。コミュニティをゼロから立ち上げるとコストも労力もかかるので、我々DX戦略部門が社内プラットフォーマーとなり、生活者とつながれる場の環境整備と運営体制づくりを推進しています。自社内の複数のコミュニティをひとつのプラットフォームで運用している点で、新しいコミュニティの形だと思いますね。

 

小父内 たしかに、ひとつのプラットフォームで複数のコミュニティを運営しているのは珍しいかもしれません。それも、多くのブランドを有する花王全体ならでは、と言えそうです。

 

岡田 「花王ウェイ」の中にもあるのですが、花王は創業以来ずっと「よきモノづくり」を掲げており、モノをつくることに対して想いがとても強い会社です。今後は「My Kao」を通じて、〝モノをつくる〟にとどまらず、新たなサービスや体験価値を生活者やファンと一緒に共創していきたいと考えています。

 

小父内 「よきモノづくり」という考え、信念があるからこそ、花王さんの商品は、多くの方に愛され続けているのでしょうね。

 

岡田 実は、花王の歴史は石鹸から始まっています。創業者の長瀬富郎は、石鹸といえば高価な舶来品か安価でも質のよくない国産品しかなかった時代に、良質の国産石鹸をつくるとの思いから、「花王石鹸」をつくりました。それが花王の「よきモノづくり」の原点であり、今もその想いを受け継いでいます。

 

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※本記事は『コミュニティドリブン経営 ファン起点で広げるビジネスの新潮流』(幻冬舎)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

コミュニティドリブン経営 ファン起点で広げるビジネスの新潮流

コミュニティドリブン経営 ファン起点で広げるビジネスの新潮流

小父内 信也

幻冬舎

「コミュニティを制すものはビジネスを制す。」 顧客と企業をつなぐ「コミュニティ」形成の有効性・活用法を、大手企業を中心に200社以上へのコミュニティ導入実績を持つ筆者がノウハウとともに解説。 ★コミュニティ…

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