コミュニティを立ち上げ、オン・オフ両面で顧客をサポート
小父内 あのカインズが本気でDIYコミュニティに取り組んでいる! 3年前にご担当の澁谷さんと初めてお話しした時、大変興奮したことを鮮明に覚えています。全社戦略の根幹とも言えるコミュニティについて、あらためて、澁谷さんにお話を伺いたいと思います。2021年にスタートした、オンラインのDIYコミュニティ「CAINZ DIY Square」には2024年5月時点で4万人のメンバーが在籍しています。このコミュニティの運営は、「DIYer 100万人プロジェクト」の一環だそうですね。
澁谷 カインズでは2019年から「DIYer 100万人プロジェクト」をスタートしました。くらしを良くするために自分でやってみることのすべてを「DIY」と捉え、日曜大工や、調理・洗濯等の家事、キャンプ、ガーデニング等を行う「DIYer(ディーアイワイヤー)」をサポートするための取り組みを行っています。将来的には「DIYer」を増やし、DIYを日本人の生活文化にすることを目指しています。
小父内 私は以前、御社がDIYを趣味で終わらせず、生活の一部と捉えることが当たり前になる世界を目指していると聞き、大変ワクワクしました。その夢を実現するために、オンラインコミュニティを導入されたのでしょうか?
澁谷 これまでは店舗・ワークショップというオフラインでのお客様との接点がメインでしたが、オフラインだけでなく、オンラインという新たな接点をつくることで、お客様のくらしをトータルでサポートし、DIYを生活文化にしていきたいという想いから「CAINZ DIY Square」を立ち上げることになりました。「店舗でのワークショップにお越しいただいたあと、作った作品をどう活用されているのだろう」とこちらが疑問に思っても、オフラインのつながりだけではなかなか把握しきれません。ですが、オンラインのコミュニティがあれば、お客様のお声も集まりやすいので、お客様をもっと具体的にイメージすることができると考えました。
小父内 たしかに、ワークショップだけだと接点を持てるのは一瞬だけですよね。実際にコミュニティを立ち上げてみて、どのような反応がありましたか?
澁谷 実際にコミュニティを運営してみると、ご自宅でのDIYの困り事を投稿してくれる方が多くいらっしゃいました。それに対して、お客様同士でアイデアを出し合い、解決に向けてサポートするという流れも生まれています。「顧客理解を深めたい」、そして「お客様のくらしをサポートしたい」という想いでコミュニティを立ち上げたのですが、それが実現できているのかなと感じています。
小父内 オンラインコミュニティであれば、お客様同士の物理的な距離も超えられますし、過去のやり取りなども資産になるという点では時間も超えられる。ボーダーレスで、タイムレス。その価値は非常に高いものだと思います。
澁谷 たしかに、そうですね。店舗に来て質問していただくこともできますが、実際のお客様のお部屋の間取りや状況が見えないのでオフラインだとできるサポートにも限界があります。しかし、オンラインであれば、具体的なイメージをもとにお悩みに合った商品のご提案までサポートすることができます。実際にお部屋の内装を変えたお客様がいらっしゃったのですが、部屋が変わっていく過程を投稿してくださったので、見ている私たちもお客様と一緒に部屋を作っているようなイメージを持つことができ、完成した際はとても嬉しかったですね。
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