「顧客中心の経営」が必須の時代になる理由
前回までのコラムで、「顧客中心の経営」が必須の時代になる理由として下記のうち3つをご紹介しました。
・理由2:多様な競合の出現〜独自の価値に基づいた差別化が求められる時代〜
・理由3:情報爆発時代の到来〜信頼できる情報を求める現代ユーザー〜
・理由4:ロイヤル顧客による売上貢献度の高まり
今回は、最後の「ロイヤル顧客による売上貢献度の高まり」について解説していきましょう。
ロイヤル顧客による売上貢献度の高まり
今後、持続的な企業価値向上のためには、ブランドや商品、サービスの熱狂的なファン・支持者である「ロイヤル顧客」との関係構築が重要になります。具体的には、以下の2点です。
①ロイヤル顧客の育成による顧客数に頼らない売上安定化(ロイヤル顧客自身の売上)
②ロイヤル顧客からの推奨による新たな顧客と市場の獲得(ロイヤル顧客が生み出す他者の売上)
つまり、自社のロイヤル顧客が生み出す売上への貢献度合いを高める必要があるわけです。
ロイヤル顧客の育成による売上安定化 新規開拓ではなく、顧客育成が重要な理由〜パレートの法則〜
まず1つ目の「ロイヤル顧客の育成による売上の安定化」という観点から説明していきます。
顧客中心の経営を実現するために、顧客の声に耳を傾ける。これは、新規開拓よりも既存顧客の育成に注力することを意味します。決して新規開拓が不要であるとは言いませんが、費用対効果は、顧客育成のほうが大きいと、私は考えます。なぜなら、ロイヤル顧客の売上貢献度は、想像以上に大きいからです。
これは、有名な「パレートの法則」で説明ができます。パレートの法則とは、20%の要素が全体の80%を生み出しているというもので、「2:8の法則」とも呼ばれます。これを企業に置き換えると、20%の顧客(ロイヤル顧客)による売上が、売上全体の80%を占めているというわけです。
私も初めてこの法則を聞いたときは、にわかには信じられませんでした。「たった20%の顧客だけで事業が成り立つ? まさか」。しかし、この法則は多くの事業、サービスで当てはまっていることが証明されています。
そして、パレートの法則を大きく上回る企業もあります。ファンマーケティングで有名な「カゴメ」は、上位2.5%のユーザーが売上の30〜40%を占めていると言いますし、クラフトビールで有名な「ヤッホーブルーイング」もやはり、上位10%のユーザーが売上の60%以上を生み出していると言います。つまり、20%にも満たない超ロイヤル顧客が企業の命運を握っている時代なのです。
株式会社ヤッホーブルーイングで顧客調査/体験設計の責任者を務めるジュンジュン氏(佐藤潤氏)は、ロイヤル顧客による売上貢献について、次のように話しています。
「弊社ではお客様のブランドロイヤルティを『ぞっこん度』という指標で定量的に捉えています。『なんとなく飲んでいる』から『すっかりハマっている』までの5段階でお客様のお気持ちを確認しています。その結果、上位と下位では購入額に10倍以上の開きがあり、上位のロイヤルティの高いお客様が会社の売上/利益を支えてくださっているのは確かです」
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