「新だし開発プロジェクト」で販売数が激増!ブランドの“本質的な価値”を探りながらサービスに還元する、すかいらーくグループのコミュニティ活用術【対談】

「新だし開発プロジェクト」で販売数が激増!ブランドの“本質的な価値”を探りながらサービスに還元する、すかいらーくグループのコミュニティ活用術【対談】
(※写真はイメージです/PIXTA)

外食業界でトップクラスの業績を誇る「すかいらーくグループ」。なかでもグループ内の「しゃぶ葉」は、密接な距離感のコミュニティを形成することで顧客の声をサービスに還元し、業績を伸ばしています。本記事では『コミュニティドリブン経営 ファン起点で広げるビジネスの新潮流/著者:小父内信也氏』(幻冬舎)より一部抜粋し、すかいらーくグループのコミュニティ活用術を対談形式でご紹介します。

ブランドの「本質的な価値」を探るためコミュニティを立ち上げ

小父内 競争の激しい外食業界で常にトップクラスの業績を維持し続ける「すかいらーくグループ」。50年以上の歴史があり、世代を超えてたくさんのファンに愛されています。しかし、ここ数年、外食産業はコロナ禍によって大きなダメージを受けました。

 

徐々に以前の活況を取り戻してきているものの、さらなる発展のためには、今こそブランドの持つ本質的な価値を磨くことも重要です。外食の最大手である「すかいらーく」がファンコミュニティを運営する理由や狙いについて、しゃぶ葉で開発チームのリーダーをされている岡田さんにお話を伺っていきたいと思います。まずは、しゃぶ葉全体のマーケティング戦略を教えてください。

 

岡田 2023年1月に調査を実施したのですが、2019年実績との比較で、それまでメインターゲットとして設定していたファミリー層の来店者数が大きく減少していました。コロナ禍ということで食べ放題という業態特性が影響したためです。その際に、あらためてスクリーニング調査でしゃぶ葉の顧客構造を把握、注力ターゲットごとの特性と攻略仮説を検討し、アプローチの優先順位を見直しました。

 

マーケティング戦略を考え直す上で、社内ではコロナ禍によって広がった新たな生活様式も鑑み、ビュッフェスタイルを一部オーダー方式に変更することによってシニア層を中心とした顧客層の満足度を上げてはどうか、という案が浮上しました。しかし、私としては提供スタイルに改変を加えることには、慎重な意見でした。元々提供してきたしゃぶ葉ならではの強みが損なわれてしまうのではないかという懸念があったからです。

 

小父内 なるほど、しゃぶ葉の本来の強みを失わずに、本質的な価値に向き合いたいと考えた。その解決手段としてコミュニティを選んだということなのでしょうか?

 

岡田 そうですね。まずは顧客がしゃぶ葉のどんな体験に価値や魅力を感じているのか、その解像度を上げることが重要だと考えました。しかしリソースも限られていますし、SNSやお客様相談室に寄せられているご意見をすべて吸い上げてフラットな見方で判断することはなかなか難しいと感じました。

 

しゃぶ葉というブランドが提供している本質的な価値は何なのかをあらためて言語化しようとした時に、もっと深く顧客に近づいて実像を知る必要があると考え、知るための手段を模索していた中で、ロイヤル顧客が集うコミュニティという発想に至ったのです。

 

小父内 2023年6月に、コミュニティ「おやさい学校しゃぶしゃ部」を開設しました。お客様の声を吸い上げられるようになりましたか?

 

岡田 そうですね。実際にどんなきっかけでお店に来ていただいて、どのような使い方をしているのかという会話から、さまざまなモーメントを知ることができたり、何が良くてしゃぶ葉を選んでいるのか、不満があるとしたらどのようなことなのかを生の声として聞けることは非常に良かったです。直接お客様にいつでも意見を聞くことができる点は大きなメリットだと感じましたね。

 

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※本記事は『コミュニティドリブン経営 ファン起点で広げるビジネスの新潮流』(幻冬舎)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

コミュニティドリブン経営 ファン起点で広げるビジネスの新潮流

コミュニティドリブン経営 ファン起点で広げるビジネスの新潮流

小父内 信也

幻冬舎

「コミュニティを制すものはビジネスを制す。」 顧客と企業をつなぐ「コミュニティ」形成の有効性・活用法を、大手企業を中心に200社以上へのコミュニティ導入実績を持つ筆者がノウハウとともに解説。 ★コミュニティ…

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