「私たちの子どもに被害が及ぶのですよ!」姉2人の怒り
山田さんと面会した夜、山田さんの姉を名乗る女性から連絡があり、急遽、山田さんを交えて面会することになりました。
1週間後、打ち合わせが行われました。
「父が亡くなったとき、弟は〈俺が跡継ぎだ!〉と騒いで大変だったんですよ」
「でも、私たちも実家を離れていますし、やり取りにうんざりしてしまって〈もう弟に任せよう〉と…」
しかし山田さんは、せっかく相続した資産を生かしきれず、15年の間成り行きに任せた結果、次回の相続に問題を持ち越す可能性が高くなってしまいました。
「生活拠点から遠く離れた場所に、ボロボロの空き家や、使い道のない空き地を残されても困るのです。いまのうちにどうにかしてもらわないと…」
「あの子、独身じゃないですか。もし認知症になったら、本人はともかく、不動産はどうなります? 我々の子どもたちに迷惑が及ぶのですよ。そんなの絶対許せないわ」
姉2人から思いのたけをぶちまけられ、山田さんは小さくなってしまいました。
不要な土地を売却し、収益物件化を狙う
話し合いの結果、現状のままでは維持がむずかしいことから、空き地や駐車場、山林を売却して、維持する手間がかからない区分マンション等の収益物件とするなどして、資産を組み替えることになりました。
将来の認知症リスクを考慮し、速やかに取り組むのが得策だと判断したのです。今後の甥姪たちへの相続も考慮しながら、いま山田さんは、資産組み換えに全力で取り組んでいる最中です。
課題解決を図りながら、資産を持ち変えることで、相続税を減らし、収入を増やすことができます。承継した資産をそのままの形で持ち続けるのではなく、姿を変えながら付加価値をつけ、有益な資産として次世代に渡すことが、これからの資産承継の形だといえます。
※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。
曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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