せっかくの話し合いが…長女・二女のふるまいに母親、激怒
それからしばらくして、疲弊しきった佐藤さんが事務所を訪れました。
「…結局、相続発生後に売却して4分割することになりました」
家族会議の席で、母親が「本当は、二男に自宅を継がせるのが理想なのだけれど…」と前置きをしただけで、長女と二女がヒートアップし、話の継続が不可能に。佐藤さんと兄が必死でその場を収めようとしましたが、どんどん声が大きくなり、収拾がつきません。そのうちなぜか長女と二女がつかみ合いを始め、大混乱になってしまいました。
「お母さんはまだ生きる! あんたたち、一体なんなの!?」
「もういい、もう結構! 解散!!」
母親は病気を抱える90代とは思えない大声で叫び、話し合いは強制終了となりました。
「翌日、私ひとりだけ母に呼び出されました。母がいうには、自宅は売却して4分割、預金は少し多く私に相続させる内容で、遺言書を準備するそうです…」
「不動産1つ、相続人複数」は、最も分割がむずかしいパターン
佐藤さんの母親のような資産構成は、遺産分割がむずかしくなる典型例です。今回の場合、自宅を建て替えるなどして分割しやすい状態にするのが基本となります。また、一部を収益物件にして収益を得る筋道をつけることで、土地の有効活用ができるようになります。もちろんその場合も、遺言書の準備は必須です。
親が健在のうちに分割しやすい財産に替えるなどしておかないと、のちのち相続人から不満が噴出ことになるため、要注意なのです。
※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。
曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
