したがって、弁護士に相談する場合には、「成果物のミス」「仲介会社の指示」のそれぞれを具体的に特定できるもの(メールのやり取りの内容等)をご用意いただければと思います。
ところが、この一つ目のポイントをクリアできたとしても、民法636条ただし書では、「請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。」とされており、もし、相談者(請負人)が、仲介会社(注文者)の指示が不適当であると知っていたにも関わらず、これを指摘していなかった場合は、代金の減額や損害賠償等が認められることになります。
そのため、②相談者が「仲介会社の指示」が適切なものではないと認識していたかどうか、また③仮に仲介会社の指示が不適切であると認識していた場合は、そのことを相談者が仲介会社に指摘したかどうかがポイントになります。
なお、「仲介会社の指示」が相談者を拘束するようなものではなく、単なる希望程度のものであった場合や、相談者が仲介会社の指示が不適切だと認識していなかったとしても、請負人として容易に不適切であることを知り得たにも関わらず、認識できていなかった場合には、代金の減額や損害賠償等が認められることになってしまいます。そのような観点からも「仲介会社の指示」がどのようなものであったのかを具体的に特定できる資料は、非常に重要になってきます。
相談者が今後も副業を続ける場合には、紛争を未然に防ぐことが重要です。
これまで記載してきたことは、あくまで民法に則った場合の結論です。契約不適合があった場合の責任については、民法の定めが絶対ではなく、契約において自由に変更することができます。
したがって、今回の相談においても、実は契約書の内容次第で結論が変わり得ます。
契約書はそれほど重要なものですので、今後も副業を続けることを考えるのであれば、取引のたびに、契約書の内容を確認することは必須と言わざるを得ません。
また、契約書の内容に特段問題がなかったとしても、万が一のトラブルに備えて、業務を行う過程での会話内容の記録や、メールの保存等は心がけていただければと思います。
杉原 杏璃 氏登壇!
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
(入場無料)今すぐ申し込む>>