(※写真はイメージです/PIXTA)

政府の働き方改革により、副業やフリーランスなど、私たちの働き方の選択肢は広がりました。自由度が上がった一方で、発注者とのやり取りはすべて自己責任で行わなければなりません。「業務委託料が支払われない」「契約書を自分でチェックしなければならない」など、対応に追われる方も多いようです。そこで、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、業務委託料の支払い拒否と損害賠償請求について、齊藤宏和弁護士に解説していただきました。

成果物を指示通りに納品したのに……

相談者の匿名希望さんは、副業でWebコーディングをしています。

 

先日業務委託先である仲介会社に、納品分の業務委託料の請求書を送付しました。すると「リリースされた成果物にミスがあり、クライアントに損害を与えた」として、業務委託料の支払い拒否と損害賠償を示唆する内容の連絡を受けたのです。

 

相談者は「成果物のミスは仲介会社の指示ミスによるものであり、自分は仲介会社の指示通りに制作しただけ」と認識しています。そして問題発覚まで修正指示がなかったことから、業務委託料の支払い拒否や損害賠償に応じなければならないのか疑問に感じています。

 

そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の3点について相談しました。

 

(1)現状、業務委託料の支払い拒否と損害賠償の請求は法的に認められるのでしょうか。

 

(2)弁護士に相談する前に、こちらでやっておくべきこと(証拠の収集など)はありますでしょうか。

 

(3)今後も副業を続ける場合、どのような点に気をつければよいのでしょうか。

今回の相談内容で重要な3つのポイント

今回のご相談内容のポイントとしては、

 

①「成果物のミスは仲介会社の指示ミスによるもの」ということが証明できるか

 

②相談者が「仲介会社の指示」が適切なものではないと認識していたかどうか

 

③仮に仲介会社の指示が不適切であると認識していた場合は、そのことを相談者が仲介会社に指摘したかどうか

 

の3つになります。

 

①「成果物のミスは仲介会社の指示ミスによるもの」ということが証明でき、かつ、②相談者が「仲介会社の指示」が適切なものではないとの認識がなかった、又は③不適切と認識して、そのことを仲介会社に指摘したが、指示通りに作成するよう求められたということであれば、業務委託料の支払い拒否は認められませんし、相談者が損賠賠償を行う必要もありません。

 

まず、業務委託契約は、その性質により請負型、委任・準委任型などに分類されます。本件は、相談者が仲介会社の依頼のもと、Webコーディングにより成果物を完成させ納品するものですので、仕事の完成を目的とする請負型に該当します。

 

請負の場合、民法632条以下が適用されることになり、本件では既に引き渡しも済ませていることから、契約に特別の定めがない限り民法633条により注文者である仲介会社に報酬支払義務が生じています。

 

一方、仲介会社は成果物にミスがあったと主張しています。この「成果物のミス」がどのようなものかははっきりしないものの、法的に整理すると、民法559条にて請負契約にも適用される売買の規定である民法562条の「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものである」(「契約不適合」と言います。)との主張と思われ、それを理由として、代金の減額(民法563条)や損害賠償(民法415条)を求めているということになります。

 

しかし、民法636条では、契約不適合が「注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた」ものである場合には、代金の減額や損害賠償等はできないとされています。

 

そのため、①「成果物のミスは仲介会社の指示ミスによるもの」ということが証明できるかが、一つ目のポイントになります。

 

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