国民年金の保険料の納付義務
日本に住所を有する20歳から60歳の人は、国民年金の第1号から第3号のいずれかに属しています。国民年金保険料を納付する人は、自営業やフリーランスの人、学生の人が主な国民年金第1号被保険者です。
自身で保険料を納付するため、うっかり忘れて未納だったり、「どうせ年金なんか受け取れない」と故意的に未納にしたりする人もいます。ですが、国民年金法第88条では「被保険者は、保険料を納付しなければならない」とされています。さらに納付義務は「世帯主」「配偶者」にもおよび、連帯して納付する義務を負うとなっているのです。
今回は、国民年金保険料を故意に滞納し続けた53歳、Aさんの事例を紹介します。
社内嫌がらせを機に、クレーマーへ
Aさんは高校卒業後、スーパーの正社員として就職しました。おとなしい性格のAさんは、店長から「販売成績があがらないのはAさんのせいだ」と嫌がらせを受け、退職します。この嫌がらせを機にしばらく家に引きこもっていたため、両親が心配するも「余計なお世話」と言い放ちます。
Aさんは、自分がおとなしい性格だから、学生時代からいじめられたり、からかわれたりするのだと、スマートフォンの動画を見ながら内向的な性格をなんとかしようとしていました。ところが、Aさんは強気な態度をとろうとするあまり、違った方向に進んでしまったようです。
Aさんが外にでるようになってからは、スーパーに買い物へいくと店員に「マナーがなっていない」「店内が汚い」など、店長を呼び出し苦情をいうようになります。あるお店では、しつこい苦情や不当な要求をいうAさんのことをいわゆる「クレーマー」とささやかれるようになります。
家の中でも、高齢の両親が受け取る月20万円の年金の一部を自分の生活費かのように自由に使い、定職につくことなく、スーパーに行ってはクレームをいうようになります。Aさんのクレームはスーパーに限らず、たとえばファミリーレストランでは、料理を運んできたアルバイトの店員さんに言葉遣いから料理の運び方まで説教しています。
ある日、Aさんが帰宅すると母親が赤い封筒を渡します。「日本年金機構からだけど、なんのお知らせ?」と聞きますが、Aさんは「あんたには関係ない」と封筒をひったくり、足早に自室へ戻ります。以前のおとなしい性格だったAさんとは、かけ離れたように変わったため、両親も怖くなりなにもいい返すことができません。
自室に戻り、赤い封筒を机に置いたAさん。すでにAさんには封筒の中身がわかっていました。「どうせ保険料を払っていない督促状だろう。保険料を払うくらいなら、別のことに使う」と考えました。
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