「えっ、今年まとめて払うんじゃ?」世間話で発覚した譲渡所得の申告漏れ…数百万円の過少申告加算税+延滞利息に顔面蒼白「とにかく急いで!」爆速修正申告の顛末

「えっ、今年まとめて払うんじゃ?」世間話で発覚した譲渡所得の申告漏れ…数百万円の過少申告加算税+延滞利息に顔面蒼白「とにかく急いで!」爆速修正申告の顛末
(※写真はイメージです/PIXTA)

ある土地持ち農家の出身の女性が、多額の税金に耐え切れず、土地を売却して整理することを決意。無事に売却が決まりましたが、その後、土地の譲渡所得が申告されていないことが発覚し…。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに、生前対策について解説します。

売却のタイミングの差で、譲渡所得の申告が2年に及んだ結果…

2カ所の山林はその年のうちに契約が完了しました。3つ目の畑は、納税猶予を解除後の契約となりましたが、同じ会社が購入することとなり、翌年の契約・決済となりました。

 

このように、3カ所の土地を売却したわけですが、うち2カ所は「年内に契約・決済で、翌年に譲渡所得の申告」、3カ所目は「翌年の契約・決済で、翌々年の譲渡所得の申告」というふうに、2年に分けて申告することになりました。

 

武田さんは今回の申告について、親の代から付き合いがあり、毎年の確定申告のほか、両親の相続税の申告も依頼した税理士法人へ頼みたいと希望されたので、筆者は、説明書類を作成し、武田さんにも数回にわたって説明したのち、書類をお渡しし、この件は一旦、筆者の手を離れました。

 

その後時間が経過し、武田さんの3つ目の畑の譲渡所得の申告をすべき年になりました。筆者は武田さんのことをふと思い出し、なんとなく電話を入れてみました。

 

「ご無沙汰してます、お元気ですか?」

「あら先生、お久しぶり! その節はありがとうございました」

 

「お変わりありませんか?」

「おかげさまで!」

 

「譲渡所得の申告、2年続いて大変でしたね」

「え? 今年まとめて払うんじゃありませんでしたっけ…?」

 

「………!!!」

 

しばらく世間話をしていたところ、その話の流れのなかで、なんと昨年行うべき譲渡所得の申告・納税がされていないことが判明。税理士法人には山林の売却は伝えていたとのことですが、再確認しても、譲渡所得の申告はされていませんでした。

 

武田さんは、すべてが終わってからまとめて申告するものだと勘違いをされていましたが、税理士法人なら、契約書を確認すれば一目瞭然のはず…。武田さんによれば、担当者の方は経験が浅く、まだ不慣れな様子だとのこと。そんなことがあるのかと驚きつつ、筆者の事務所で再び引き取ることになりました。

過少申告加算税に延滞利息…修正申告、とにかく急いで!

筆者は提携先の税理士に急ぎ対応してもらい、すぐに修正申告の書類を作成し、武田さんに昨年分の譲渡所得の納税をすませてもらいました。申告期限は昨年の3月15日。それを過ぎている場合は、本税の20%の過少申告加算税が加算され、納税するまでの間の延滞利息も付きます。よって1日でも早く納税する必要がありました。

 

武田さんが納めるべき譲渡所得は約1,200万円で、過少申告加算税だけでも200万円を超える計算となり、住民税も400万円以上払わなくてはなりません。さらに延滞税、延滞利息が加算されると大きな金額になるのです。

 

武田さんはもったいない結果になりましたが、筆者は電話をかけて本当によかったと思いました。

 

このようなトラブルは、残念ですが、まれに起きてしまうこともあります。毎年の確定申告なら、そこまで大きなリスクはないかもしれませんが、土地の売買や相続といった重要な手続きを行う場合は、やはり依頼先に任せきりにするのではなく、ご自身も納税のタイミングや金額等について、しっかり注意を払うことが重要です。

 

 

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

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本記事は、株式会社夢相続のサイト掲載された事例を転載・再編集したものです。

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