(写真はイメージです/PIXTA)

国内不動産市場の2023年第3四半期の不動産取引総額は前年同期比でプラスに転じた。また外国資本による購入額は前年同期比でプラスとなった。世界全体の不動産取引額は前年の半分程度にまで落ち込む一方、アジア太平洋では相対的に減速が緩やかな状態が続き、日本の不動産投資市場は、低金利が継続している安定した金融市場を背景に、世界で最も活発な市場となっている。しかし従来相対的に投資額が大きかったアメリカの投資家が、日本の不動産に対して今後も投資を控えることを続ければ、国内不動産市場も悪影響をもたらす可能性はある。また今後さらに円安が進むことになれば、外国資本による日本国内不動産投資が減少するリスクが生じる。本記事では、不動産投資市場動向(2023年第3四半期)と今後の不動産市場見込みについてニッセイ基礎研究所の渡邊 布味子氏が詳しく解説します。

要旨

国内不動産市場の2023年第3四半期の不動産取引総額は前年同期比でプラスに転じた。第1四半期から第3四半期までの不動産取引額総額は前年同期比で改善した。低金利が継続している安定した金融市場を背景に、日本の不動産投資市場は世界で最も活発な市場となっている。


また外国資本による購入額は前年同期比でプラスとなった。2023年第1四半期から第3四半期までの外国資本による国内不動産の購入額は改善した。オフィスへの投資が避けられているほか、コロナ禍後に活況となった外国資本による賃貸マンションの取得は一段落したとみられる。


世界全体の不動産取引額は前年の半分程度にまで落ち込んでいる。一方、アジア太平洋では相対的に減速が緩やかな状態が続いている。欧米資本の国外不動産への投資額が減少する一方、アジア太平洋地域内の投資家の存在感が増している。

 

シンガポール資本、香港資本などの積極投資が目立つほか、日本資本もオフィス、物流施設、賃貸マンション、開発用地、ショッピングモール、ホテルと多岐にわたる投資を行っている。


世界的なマクロ経済環境は悪化しており、今後の行方も不透明である。特にアメリカ資本の対外投資の減少と、アメリカ国内で不良債権残高の増加には注意が必要である。従来は相対的に投資額が大きかったアメリカの投資家が、日本の不動産に対して今後も投資を控えることを続ければ、国内不動産市場も悪影響をもたらす可能性はある。


また外国資本にとっては国内不動産価格が円安の進行により外貨換算した価値が下落していることになる。今後さらに円安が進むことになれば、既存投資の外貨換算での投資が毀損し、外国資本による日本国内不動産投資が減少するリスクが生じる。


今期は国内資本の海外不動産への投資が大きく伸びた。従来は国内を中心に不動産投資を行っていた投資家も、リスク分散のために海外の不動産への投資を開始・拡大したという面もある。円安や日本の人口減少や経済の低成長が続くとすれば、国内不動産の今後の収益性に大きな期待を持てない国内投資家を中心に、今後も海外不動産への投資が拡大してく傾向は続くと考えられる。

目次

・国内全体の不動産取引の動向(2023年第3四半期)
・外国資本の国内不動産購入の動向(2023年第3四半期)
・世界とアジア太平洋地域の売買動向
・アジア太平洋地域内の投資家の存在感が増している
・米国で懸念される不良債権処理の長期化、ドル円や地政学リスクにも留意

国内全体の不動産取引の動向(2023年第3四半期)

米国の不動産市場調査会社であるMSCIリアル・キャピタル・アナリティクス(以下、売買データは同社が2023年11月16日時点で把握しているもの)によると、国内不動産市場の2023年第3四半期の不動産取引総額は約1兆2,970億円、前年同期比は+12.0%とプラスに転じた(図表1)。

 

2023年第1四半期から第3四半期までの不動産取引額総額は前年同期比で▲3.3%となり、上半期の前年同期比(▲18.9%)から改善した1。低金利が継続している安定した金融市場を背景に、日本の不動産投資市場は世界で最も活発な市場となっている。



用途別取引額(2023年第1四半期から第3四半期の累計)の割合は、物流施設が19.2%(前年同期比+10.9%)、商業施設が15.1%(+2.9%)、ホテルが10.9%(+3.1%)と増加し、オフィスが25.6%(▲8.3%)、開発用地が13.0%(▲5.5%)、賃貸マンションが14.9%(▲4.8%)と減少した。



個別の大型取引では、三井不動産が帝国ホテル東京タワー館の敷地の一部と、東京都日野市にある日野自動車の工場の一部を取得した。

1渡邊布味子『不動産投資市場動向(2023年第2四半期)~物流施設とホテルへの投資が増加、投資戦略は賃収増に変化』(ニッセイ基礎研究所、不動産投資レポート、2023年08月21日)
[図表1]国内不動産の売買額(全体、四半期、前年比)
 

 


1渡邊布味子『不動産投資市場動向(2023年第2四半期)~物流施設とホテルへの投資が増加、投資戦略は賃収増に変化』(ニッセイ基礎研究所、不動産投資レポート、2023年08月21日)

 

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    ※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
    ※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年11月21日に公開したレポートを転載したものです。

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