前回は、日本政府が「円安」を進行させたい理由を説明しました。今回は、「景気がいい」とはどこで判断すれば良いのかを探っていきます。

インフレ状態にあると物価は上昇するが・・・

一般の人にとっては、インフレ=物価が上がる=生活が苦しくなる=悪であり、デフレ=物価が下がる=生活が楽になる=善であるとの認識が強いと思います。

 

では、なぜ日本政府はインフレ目標を定めて、意図的にインフレを起こそうとしているのでしょうか。政府の目標としているインフレとは、ハイパーインフレのことではなく、年率2%程度の緩やかなインフレのことですが、物価が上がっていくことに変わりはありません。

 

実は、多くの人の理解とは異なり、インフレこそが景気をよくして私たちの生活を楽にする善で、デフレは不景気を呼び起こし私たちの生活を苦しくする悪なのです。その理由をこれから説明しましょう。

経済的な余裕=収入が増えることではない

まず、私たちの生活がいいとか悪いとかは、どこで判断すればよいのでしょうか。健康であるとか、家族の仲がよいとか、信頼できる人間がそばにいるとか、いろいろな判断基準があるでしょうが、それらはおおむね経済的な余裕と比例していることは、肌感覚として納得していただけるでしょう。

 

経済的な余裕がなければ、気持ちに余裕がなくなりますし、ひとたび怪我や病気やリストラなどのトラブルに巻き込まれると、再起することが難しくなるからです。

 

お金がすべてではないという意見には私も賛同しますが、少なくとも他の条件がまったく同じであれば、お金はないよりもあったほうがいいことには、全員の同意が得られることと思います。

 

また、経済的な余裕とは、単にあなたの収入が増えたり、購買力が増えたりすることだけを意味しません。

 

個人の収入だけが増えても、社会全体が貧しくなれば治安が悪化しますし、道路や水道などの社会インフラも整備できなくなって、生活の質が落ちてしまうからです。生活環境をよくするためには、社会全体=日本経済がよくならなければなりません。

 

この話は次回に続きます。

本連載は、2014年7月29日刊行の書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

杉浦 和也・前野 達志

幻冬舎メディアコンサルティング

仮に今、あなたに1000万円の預金があるとしましょう。安倍内閣が掲げるインフレ目標2%が今後毎年達成された場合、その預金の価値は毎年2%、つまり20万円ずつ目減りしていくことになります。預金の金利はもちろんつきますが、現…

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