緩やかな「インフレ」が経済によい影響を与える理由

前回は、日本の労働者にとって「デフレ」は悪である理由を説明しました。今回は、緩やかな「インフレ」が経済によい影響を与える理由を見ていきます。

日本以外の国は「インフレ」で経済成長している!?

前回の記事を読んでも、まだインフレがよくなくて、デフレのほうがましであると信じる人のために、もう一つの事実を紹介しましょう。

 

実は、世界で経済成長を続けている国はすべて緩やかなインフレ状態にあります。デフレを続けていたのは、経済が停滞していた日本だけなのです。

デフレ基調となっている先進国は日本だけ

下記の図表1は、日本の経済成長が続いていた70~80年代のインフレ率の推移です。当時は世界的に経済成長が続いていましたから、デフレになるような国はまったくありませんでした。1973年と1979年のオイル・ショックの後だけは急激な物価の高騰が世界的に見られますが、それを除けばだいたい年率10%以下のインフレが続いています。

 

[図表1]各国の消費者物価指数の対前年上昇率の推移(1971~1990年)

 

さらに下記の図表2は、1991年から2004年までのインフレ率の変化です。先進国の経済成長にかげりが見えるとともに、インフレは緩やかなものになっていったことが分かります。

 

[図表2]各国の消費者物価指数の対前年上昇率の推移(1991~2004年)

 

特に日本は90年代後半から消費者物価指数がマイナス成長になり始め、すっかりデフレが定着したことが分かります。物価が前年よりも下がっている、つまりデフレになっている国は、日本しかありません。

 

ちなみに1997年に一時的に物価が上がっていますが、これはこの年に消費税が3%から5%に引き上げられたことによる影響であり、デフレ基調は変わっていません。

 

2004年以降は、アメリカ、ユーロ圏ともになかなか物価の上がらない傾向はありますが、それでも1~3%のインフレ率を堅持しています。日本だけがデフレを続けていたのです。

パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 代表取締役社長

学習院大学経済学部卒業後、1985年に野村證券投資信託委託入社。日本株式運用、総合企画、秘書室勤務を経て野村アセット・マネジメント・シンガポール、野村ブラックロックで幅広い資産運用ビジネスを経験。その後、メリルリンチ・インベストメント・マネジャーズのディレクターを経て、2002年5月に投資信託本部長としてAIG投信投資顧問(現 パインブリッジ・インベストメンツ)入社、その後、常務執行役員投資信託本部長を経て、2011年6月から現職。日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 執行役員 グ ローバル・マルチアセット運用部長

慶應義塾大学商学部卒業後、1987年に三井生命保険入社。1993年より同社英国投資顧問現地法人に勤務し、ロンドン・シティからグローバルな株式・債券投資を行う。その後、スカンディア生命保険、三井住友海上シティインシュアランス生命保険を経て、2004年にAIG投信投資顧問入社。その後、執行役員 運用本部長兼グローバル・バランス運用部長を経て、2013年1月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員およびCFA協会認定証券アナリスト。

著者紹介

連載貯金が減り続ける!? 到来する「インフレ時代」とは

本連載は、2014年7月29日刊行の書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

杉浦 和也・前野 達志

幻冬舎メディアコンサルティング

仮に今、あなたに1000万円の預金があるとしましょう。安倍内閣が掲げるインフレ目標2%が今後毎年達成された場合、その預金の価値は毎年2%、つまり20万円ずつ目減りしていくことになります。預金の金利はもちろんつきますが、現…

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