(写真はイメージです/PIXTA)

9月19-20日(現地時間)に米国で連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されました。政策金利の据え置き、年内の追加利上げの示唆などといった情報が発表されるなか、米国経済の見通しにはどのような変化が起きているのでしょうか。本稿では、ニッセイ基礎研究所の窪谷浩氏が、今回のFOMCの内容から米国経済の今後の見通しについて解説します。

4.会見の主なポイント(要旨)

記者会見の主な内容は以下の通り。

パウエル議長の冒頭発言

  • 本日、我々は政策金利を据え置き、保有有価証券の削減を継続することを決定した。今後、我々はどの程度の追加的な政策調整が適当かを慎重に判断する立場にある。我々の決断は今後入手するデータ、進展する見通しとリスクの継続的な評価に基づいて行われる。
  • 最近の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大していることを示唆しており、今年に入ってからの実質GDP成長率は予想を上回っている。個人消費に関する最近の数値はとくに堅調である。
  • 労働市場は依然タイトだが、需給バランスは改善を示している。雇用と労働者の格差は縮小しているものの、労働需要は依然として供給力を上回っている。FOMC参加者は、労働市場のリバランスが続き、インフレ上昇圧力が緩和されると予想している。
  • インフレ率は、長期目標である2%を大幅に上回っている。インフレ率は昨年半ばから幾分緩やかになっており、長期的なインフレ期待は家計、企業、予測担当者を対象とした広範な調査や金融市場の指標に反映されているように、依然としてしっかりと固定されているようだ。とは言え、インフレ率を持続的に2%まで低下させるプロセスは、まだ長い道のりがある。
  • 現在の実質金利は、中立的な政策金利の主流予測を大きく上回っている。しかし、政策スタンスを正確に把握することには不確実性が伴うことを念頭に置いている。適切であれば、さらに金利を引上げる用意がある。また、インフレ率が目標に向かって持続的に低下していると確信できるまでは、制限的な水準で政策を維持するつもりだ。

主な質疑応答

  • (今年のインフレ見通しがやや穏やかと予想しているにも関わらず、政策金利がまだ十分に制限的ではないと考える理由について)今回政策金利の維持を決定したことは、現時点で我々が求めている金融政策のスタンスに達したか、達していないかを決定したことを意味しない。我々は政策金利を維持してさらなるデータを待つという決定をしただけだ。
  • (追加利上げか、据え置きかを巡る議論についてどのような意見対立があったのか)政策金利の据え置きは全会一致の支持があった。今回の会合ではFOMC参加者の政策金利見通しをまとめたが、年内残り2回の会合について議論した訳ではない。我々は実際に入ってくるデータと進展する見通し、そしてリスクを評価しながら慎重に作業を進めることができる立場にある。これらの決定は会合毎に行われる。
  • (来年も同じインフレ率予想にも関わらず、政策金利見通しを0.5%ポイント引上げた理由について)これは最近のデータなどからインフレがより持続的になっていると考えているからではなく、むしろ経済活動の強さを示していると言えるだろう。
  • (ソフトランディングは現在のベースラインの予想か)いえ、そうではない。私はずっと、ソフトランディングはもっともらしい結果であり、ソフトランディングへの道筋があると言ってきた。道筋が狭まった可能性もあるし、明らかに広がった可能性もある。最終的には、我々がコントロールできない要因によって決まるかもしれない。
  • (利下げの時期について)私は利下げの時期についてシグナルを送るつもりはない。ある時点で、利下げが適切な時期が来るだろう。その一部はインフレ率が低下しているために実質金利が上昇しているということかもしれない。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年9月21日に公開したレポートを転載したものです。

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