(写真はイメージです/PIXTA)

9月19-20日(現地時間)に米国で連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されました。政策金利の据え置き、年内の追加利上げの示唆などといった情報が発表されるなか、米国経済の見通しにはどのような変化が起きているのでしょうか。本稿では、ニッセイ基礎研究所の窪谷浩氏が、今回のFOMCの内容から米国経済の今後の見通しについて解説します。

1.金融政策の概要:市場の予想通り、政策金利を据え置き

米国で連邦公開市場委員会(FOMC)が9月19-20日(現地時間)に開催された。FRBは事前の予想通り政策金利を据え置いた。量的緩和政策の変更はなかった。

 

今回発表された声明文では、景気判断部分で経済活動の評価が上方修正された一方、雇用の評価が小幅下方修正された。

 

また、景気見通し、フォワードガイダンス部分に変更はなく、フォワードガイダンスに関して「追加的な金融引締めの程度を見極める上で、委員会は金融政策の累積的な引締め、金融政策が経済活動やインフレに影響を与える時間差、経済・金融情勢を考慮する予定である」との表現が維持され、引き続き追加利上げの可能性を示唆した。

 

今回の金融政策方針は全会一致での決定となった。

 

FOMC参加者の経済見通し(SEP)は前回(6月)から、23年と24年の成長率が上方修正されたほか、23年から25年の失業率が下方修正された。また、PCE価格指数は23年と25年の総合指数が小幅上方修正された(後掲図表1)。

 

政策金利見通し(中央値)は23年が前回の5.6%に維持され年内に0.25%の追加利上げ方針が示された一方、24年と25年がそれぞれ0.5%ポイント上方修正され、24年の利下げペースが前回より緩やかなことが示された。

2.金融政策の評価:年内の追加利上げ方針を維持

政策金利の据え置きは予想通り、FOMC参加者の23年の政策金利見通しが据え置かれたことも予想通りだった。一方、24年の政策金利見通しが上方修正され24年の利下げ幅が縮小されたのは予想外であった。

 

パウエル議長の記者会見では、昨年からの迅速な政策金利の引上げにより、足元の政策金利水準が最終到達水準近くまで来ていることに言及し、現在はどの程度の追加的な政策調整が適当かを慎重に判断できるとした上で、インフレ率を持続的に2%まで低下させるプロセスは、まだ長い道のりがあるとしており、引き続き年内の追加利上げ方針を示唆した。

 

また、FOMC参加者による24年の政策金利見通しの上方修正と併せて、今回の会合は全般的にタカ派的な内容と言えよう。

 

当研究所は、今回の結果を受けて11月の0.25%の追加利上げ予想を維持する。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年9月21日に公開したレポートを転載したものです。

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