米FOMC(23年9月)-予想通り、政策金利を据え置き。引き続き、年内の追加利上げを示唆
(写真はイメージです/PIXTA)
9月19-20日(現地時間)に米国で連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されました。政策金利の据え置き、年内の追加利上げの示唆などといった情報が発表されるなか、米国経済の見通しにはどのような変化が起きているのでしょうか。本稿では、ニッセイ基礎研究所の窪谷浩氏が、今回のFOMCの内容から米国経済の今後の見通しについて解説します。
3.声明の概要
(金融政策の方針)
- 委員会はFF金利の目標レンジを5.25-5.5%に引上げることを決定(今回削除)
- 委員会はFF金利の目標レンジを5.25-5.5%に維持することを決定(今回追加)
- 加えて、以前発表した計画通り、財務省証券、エージェンシー債、エージェンシーの住宅ローン担保証券の保有を引き続き削減する(変更なし)
(フォワードガイダンス)
- 委員会は雇用の最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す(変更なし)
- 委員会は追加情報とそれが金融政策におよぼす影響を引き続き評価する(変更なし)
- インフレ率を時間の経過とともに2%に戻すのに適切な追加の金融引締めの程度を見極める上で、委員会は金融政策の累積的な引締め、金融政策が経済活動やインフレに影響を与える時間差、経済・金融情勢を考慮する予定である(変更なし)
- 委員会はインフレを2%の目標に戻すことに強くコミットしている(変更なし)
- 金融政策の適切なスタンスを評価するにあたり、委員会は経済見通しに対する今後の情報の影響を引き続き監視する(変更なし)
- 委員会は目標の達成を妨げる可能性のあるリスクが生じた場合には、金融政策のスタンスを適宜調整する用意がある(変更なし)
- 委員会の評価は労働市場の情勢、インフレ圧力とインフレ期待に関する指標、金融情勢、国際情勢など幅広い情報を考慮する(変更なし)
(景気判断)
- 最近の指標は経済活動が堅調なペースで拡大してきていることを示唆する(経済活動について、前回の「穏やかなペースで拡大してきている」” has been expanding at a moderate pace”から「堅調なペースで拡大してきている」” has been expanding at a solid pace”に上方修正)
- ここ数ヵ月の雇用の伸びは鈍化したが、依然堅調で、失業率は低いままだ(前回の「ここ数ヵ月の雇用の伸びは力強く」”Job gains have robust in recent months”から「ここ数ヵ月の雇用の伸びは鈍化したが、依然堅調」”Job gains have slowed in recent months but remain strong”に小幅下方修正)
- インフレは高止まりしている(変更なし)
(景気見通し)
- 米国の金融システムは健全で強靭だ(変更なし)
- 家計や企業の信用状況の引締まりは、経済活動、雇用、インフレを圧迫する可能性が高い(変更なし)
- これらの影響の程度は依然として不透明である(変更なし)
- 委員会はインフレリスクに引き続き高い注意を払っている(変更なし)
ニッセイ基礎研究所
経済研究部 主任研究員
【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
著者プロフィール詳細
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※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年9月21日に公開したレポートを転載したものです。