70年連続で増加中…熟年離婚カップル
厚生労働省が発表した『令和4年度「離婚に関する統計」の概況 人口動態統計特殊報告』によると、2020年に離婚した夫婦のうち、20年以上同居したいわゆる「熟年離婚」は21.5%と過去最高になりました。1950年(昭和25年)から70年にわたり、連続で増加しています。特に1980年ごろを境に急速に増加しているのです。
これには戦前から戦後すぐに時代にかけて存在した結婚の目的のようなものが、次第に変容していった背景が推測できます。かつての日本では「夫は外で働き、妻は家事労働だけをする」というジェンダーロールに従わなければ生活できなかった女性達が、もう我慢することをやめたという事情もあり得るかもしれません。男尊女卑的な「妻の役割」が存在し、屈辱的な結婚生活を送ったと考えている女性もいることでしょう。
2007年から始まった「年金分割制度」で「離婚しやすい環境」が整いつつある
しかし離婚で夫婦それぞれの経済状況が裕福になることは稀で、特に専業主婦だった女性の熟年離婚は、老後の貧困へと直結するのが現実でした。そのため離婚時における夫婦間の衡平をはかるために、2007年からは「年金分割制度」が始まりました。婚姻期間中の厚生年金の加入期間を夫婦で分割する制度です。
また、民法768条1項によって定められている「離婚時の財産分与の制度」と合わせると、熟年離婚に踏み出しやすい環境が次第に整いつつあります。
この熟年離婚によって老後のライフプランが「想定外に」崩れていくのは夫のほう。現役時代にビジネス社会で成功した「富裕層」とも言える男性が、熟年離婚によって困窮していくこともめずらしくありません。事例を交えながら解説していきます。
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