月収200万円だった元エリートが老後破産!?
Aさんは現在65歳。一流大学を卒業後、有名企業を渡り歩き、現役時代は外資系コンサルとして勤務していました。当時の月収は200万円。飽き性の性格のAさんは、同じ住居に長く住むことを好まず、持ち家は購入せず、都内一等地の高級賃貸マンションに家族で暮らしています。
60歳で退職したあとは悠々自適な生活を送っています。激務といわれる外資系コンサルを勤め上げたAさんは、仕事で繋がった交友関係も広く、プライベートでも趣味のゴルフや仲間達との会食を楽しんでいます。これまでのキャリアや収入等を鑑みると、いわゆる「勝ち組」でしょう。
退職時の貯蓄は8,000万円あり、子供も独立したいまとなっては妻との2人暮らし。65歳から始まる年金も受け取りつつ、今後の生活には困ることはないだろうと考えていたAさんでしたが、事態は一変します。
「このままだと、破産するかもしれない……」
退職10年後の70歳には、老後破産の淵に立たされるかもしれないということが判明しました。
現役時代の収入差で「年金」はいくら変わる?
一般的に、年金は65歳から受け取ることができます。年金制度は現在、2階建ての構造となっており、Aさんのような現役時代に会社員だった人の場合、厚生年金と国民年金の両方を受け取ることができます。
厚生年金の額は「報酬比例」という計算方法となり、現役時代の給与によって将来受け取る年金が変わります。すなわち、給与が高ければ高いほど、将来受け取ることのできる年金も増えるということになります。
では、収入に応じて年金額はどのくらい変わるのでしょうか?
厚生年金の受給額
結論からいうと、厚生年金の額を計算するため、給与は月額8万8,000円から65万円までの32の等級に当てはめられます。等級に応じた厚生年金保険料を毎月支払い、支払った金額と期間に応じて受け取る厚生年金の額が変わります。
サラリーマンの方は通常、給与から年金保険料が天引きされているので、あまり実感が沸かないかもしれません。給与明細に記載されている「厚生年金保険料」がその部分です(厚生年金保険料は事業主との折半負担のため、同額を事業主も負担してくれています)。
保険料を支払うための給与の額を標準報酬月額といい、一般的に毎年4・5・6月の給与の平均値をとり、それらをもとに1年の保険料が決定されます。ここで気をつけるべきは、標準報酬月額は65万円が上限だという点です。言い換えると、月額65万円以上の給与の方は、以降厚生年金の受給額は伸びないということになります。
Aさんを例にすると、彼の現役時代の給与は月200万円。65万円のおよそ3倍となりますが、年金は3倍になることはありません。Aさんの場合、専業主婦の妻の年金も合計すると、その額はおよそ350万円となります。
これでも、年金額としては十分な額といえるでしょう。しかし、Aさんの生活水準に当てはめると、そうはいかない状況がみえてきます。
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