7―おわりに
以上、少子化対策の主な財源として、社会保険料を充当する是非を論じて来ました。少子化対策に限らず、予算を拡充するのであれば、租税だろうが、社会保険料だろうが、その財源を考えることは不可欠です。歳出カットによる財源捻出も検討に値しますが、数千億円単位あるいは兆円単位の財源を確保することは困難であり、やはり財源対策を検討する必要があります。
その際には社会保険方式の特性を踏まえた議論が必要であり、社会保険料の「流用」に当たる遣い方を含めて、「取れるところから取る」という安易な方法では、社会保障制度や社会保険料に対する国民の不信感を増幅しかねません。
筆者は「社会保険料の充当は全てダメ」と原理主義的に考えているわけではありませんが、それでも制度の立て付けに沿った議論が求められます。さらに、少子化対策も含めて社会保障の負担と給付の在り方に関して、もう一度考え直す必要が来ていると思います。