少子化対策の主な財源として社会保険料は是か非か…社会保障の「教科書」的な説明から考える

少子化対策の主な財源として社会保険料は是か非か…社会保障の「教科書」的な説明から考える
(写真はイメージです/PIXTA)

岸田文雄政権が目指す「次元の異なる少子化対策」に関連し、その財源として社会保険料を充当する考え方がに有力になっていますが、ニッセイ基礎研究所の三原岳氏は違和感を覚えるといいます。本稿では社会保障の「教科書」的な説明に立ち返り、少子化対策の財源問題を検討していきます。

7―おわりに

以上、少子化対策の主な財源として、社会保険料を充当する是非を論じて来ました。少子化対策に限らず、予算を拡充するのであれば、租税だろうが、社会保険料だろうが、その財源を考えることは不可欠です。歳出カットによる財源捻出も検討に値しますが、数千億円単位あるいは兆円単位の財源を確保することは困難であり、やはり財源対策を検討する必要があります。

 

その際には社会保険方式の特性を踏まえた議論が必要であり、社会保険料の「流用」に当たる遣い方を含めて、「取れるところから取る」という安易な方法では、社会保障制度や社会保険料に対する国民の不信感を増幅しかねません。

 

筆者は「社会保険料の充当は全てダメ」と原理主義的に考えているわけではありませんが、それでも制度の立て付けに沿った議論が求められます。さらに、少子化対策も含めて社会保障の負担と給付の在り方に関して、もう一度考え直す必要が来ていると思います。

※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年5月24日に公開したレポートを転載したものです。

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