(※写真はイメージです/PIXTA)

認知症で脳萎縮がかなり進んでいるのに、理路整然と話し、認知症の症状がほとんど見られない人がいます。反対に、脳萎縮は目立たないのに一日じゅうボーッと一点を見つめている方もいます。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『70歳からの老けない生き方』(リベラル社)で解説します。

【Jグランドの人気WEBセミナー】
税理士登壇!不動産投資による相続税対策のポイントとは?
<フルローン可>「新築マンション」×「相続税圧縮」を徹底解説

降圧剤の継続使用を避けるような生活

■血糖値コントロールにスクワットをしたけれど……

 

現在、糖尿病はなんとか小康状態を保っている状態で、血糖値は薬を飲まずにぎりぎり現状を保っています。とにかく毎日歩くことを心がけ、それが薬代わりになっているのかもしれません。

 

2、3年前までは毎日、ほとんど歩くことがありませんでした。自分で車を運転する上に、タクシーもよく利用していましたから、もし歩数計を使っていたら1日に1000歩もいかなかったかもしれません。

 

それが一転、日々歩くようになったことが、薬なしでも糖尿病を悪化させない原因だと思うのですが、ただ歩くだけではなくて、早足なのがよかったのではないか、と当初は思っていました。

 

子どものころから徒競走は「からっきし」だったのですが、持久走はクラスでもトップクラス。せっかちな気質が影響してか(?)大阪出身は歩くのが速いといわれますが、私もそのクチかもしれません。

 

ところが、いくら早足で歩いてもあまり血糖値が下がらないことがわかったのです。散歩は日々の体調維持には一定の効果が得られるはずですが、血糖値を下げるという医療的な効果まではさすがにムリでした。

 

そこで試してみたのがややきつめのスクワット。これを続けてみたところ効果てきめん。見事に血糖値が下がったのです。体験から学んだのは、筋肉が最も糖を消費してくれる、ということです。運動で重要になってくるのは「三日坊主」にならないこと。これは個人差がありますが、意を決して運動を始めてもしだいに面倒になってきます。

 

しかし、強く習慣づけることで運動は継続しやすくなってきます。歯磨きと同じこと、と考えれば続けられるのではないでしょうか。少なくとも私はそういう思いでスクワットを続けて頑張ってきました。

 

ただ、ここで再び問題が発生しました。スクワットをやり過ぎたせいなのか、耐えられないほどの筋肉痛が発生したのです。まさに「あちらが立てばこちらが立たず」の状態。高齢になると、あちこち痛がる患者さんが増えてくるのですが、痛みは本当に辛いもの。体験してみて患者さんの真の気持ちが理解できました。

 

しかし、これでもまだ〝災難〟は終わりませんでした。次は五十肩。右腕でしたから痛み止めを飲まないとパソコンも使えません。脚の筋肉痛の数倍上の痛みでしたが、使っているうちに自然に解消しました。

 

■降圧剤、飲むべきか飲まざるべきか

 

病気や体の不調をいくつも経験して感じるのは薬との付き合い方の難しさです。「飲むべきか飲まざるべきか」……。正確にいえば「飲み続けるべきか否か」。とんどの高齢者はこれで悩んでいます。

 

その代表が降圧剤です。現在、わが国では2000万人以上、70歳以上の2人に1人は降圧剤を飲み続けています。高齢になると、1日に10錠以上薬を飲む人が珍しくないのですから、膨らんだ薬袋の中には必ず降圧剤が入っています。その理由はじつにシンプルです。高血圧と診断された人が血圧を下げるべき基準値の「降圧目標」が厳し過ぎるからです。

 

2000年には最高血圧が高齢者の場合160mmHgまでが治療の目安とされるガイドラインが出されました。いまはさまざまな条件が付加されますが、上が130mmHg未満、下が80mmHg未満くらいになっています。若い人でもこれくらいの血圧の人はたくさんいます。

 

降圧剤の市場規模は1兆円を超える、という声も聞こえてきますが、降圧剤と老人性うつ病の関係性を指摘する向きもあります。降圧剤そのものを否定するわけではありませんが、継続使用を避けるような生活の工夫が重要になってくるはずです。

 

私自身、降圧剤を飲まないと最高血圧は200を超えます。それでも、いわれているような“正常値”までは下げずになんとか上を160~170くらいでコントロールしています。

 

前述のように、高齢になり、動脈硬化が進むと血管の壁が厚くなります。内径も狭くなるために、血圧や血糖値が多少高めのほうが脳に酸素やブドウ糖などの栄養素が行きやすくなる、という一面もあります。

 

その昔、血圧は「年齢プラス90」でもOKという時代もありました。血圧、血糖値については、画一的な基準値に照らし合わせて一喜一憂する必要はないと私は考えています。無視しろとはいいませんが、その値にあまり神経質にならないということも大切です。

次ページ一病息災くらいがちょうどいい

※本連載は和田秀樹氏の著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

70歳からの老けない生き方

70歳からの老けない生き方

和田 秀樹

リベラル社

定年前後の世代は、暮らし方によって老化の進み具合が大きく異なります。 加齢による心と体の老化への正しい知識をもち、ある程度受け入れながら適切な予防と対策をすることで、80代、90代になっても若々しく充実した生活が送…

「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方

「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方

和田 秀樹

日本能率協会マネジメントセンター

今日、65歳は人生の大きな岐路に立つ年だと言って良いでしょう。 「働いたほうがいいのだろうか」 「暇になりそうだが、何をしたらいいのだろう」 「健康状態も不安だ」 こうした、さまざまな課題と向き合わなければならな…

シャキッと75歳 ヨボヨボ75歳 80歳の壁を超える「足し算」健康術

シャキッと75歳 ヨボヨボ75歳 80歳の壁を超える「足し算」健康術

和田 秀樹

マキノ出版

老化による脳や体の衰えは避けられないもの。しかし「もう年だから」とあきらめることはありません!現代の710代は、老いと闘える最後の世代! 70代になったら薬で数値を下げたり、塩分や脂質の低い食事をションボリ食べる「…

80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい

80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい

和田 秀樹

廣済堂出版

70代は人生の下り坂に差し掛かった時期。一気に滑り台のようにおりていくか、鼻歌でも歌いながら気長におりていくか……。80代、90代を迎える大事な時間である70代をいかに過ごすべきか。30年以上にわたり高齢者医療に携わって…

アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉

アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉

和田 秀樹

大和書房

親の言葉かけが、子どもを東大へ行かせます。 罰しても子どもは勉強しません。なぜなら自分に価値があると思うときに子どもは勇気を持てるからです。アドラーは親子関係を対等なものと考え、子どもが人生の課題に取り組み、乗…

東大医学部

東大医学部

和田 秀樹 鳥集 徹

ブックマン社

灘高→東大理Ⅲ→東大医学部卒。それは、日本の偏差値トップの子どもだけが許された、誰もがうらやむ超・エリートコースである。しかし、東大医学部卒の医師が、名医や素晴らしい研究者となり、成功した人生を歩むとは限らない…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録