1本の投資信託で世界中の株式に分散投資ができる「全世界株式インデックスファンド」。自身も全世界株式で資産運用をしているFP資格を持つ証券会社出身のSGO編集者が、選び方のポイントをはじめ、純資産額が多くておすすめの人気銘柄を5本紹介して徹底比較します。
「全世界株式インデックスファンド」はどれがおすすめ?人気の5本を徹底比較

『資産形成ゴールドオンライン』は複数の企業と提携して情報を提供しており、当サイトを経由して申込みがあった場合、各企業から報酬が発生することがあります。しかし、提携の有無などが本ページ内のサービスの評価や掲載順位に関して影響を及ぼすことはありません(提携会社一覧)。

「全世界株式インデックスファンド」を買うと、1本の投資信託で世界中の株式に低コストで分散投資ができます。

 

どの国がいつどれくらい成長するかを正確に予想することはプロでも難しいので、世界中の株式を丸ごと買っておけば、どこの国の経済が発展して株価が上がっても、投資信託の基準価額の上昇という形で世界経済の成長の恩恵を受けることができます。

 

しかし、投資信託協会の統計データによると、国内には約5,900本の公募投資信託が存在するので、初心者はどれが全世界株式のファンドで、どれを選べばよいか迷う人は多いはずです。

 

そこで本記事では、

 

「全世界株式インデックスファンドの選び方を知りたい」

「おすすめの全世界株式インデックスファンドを教えてほしい」

「どこのネット証券で買えばいいのかを知りたい」

 

という方のために、純資産額が大きい人気の全世界株式インデックスファンドを厳選して5本紹介します。

 

最後まで読めば、資産形成に適した全世界株式インデックスファンドを自信を持って選べるようになります。

 


はじめに:おすすめの「全世界株式インデックスファンド」5本の比較表

最初に、本記事でおすすめする5本の「全世界株式インデックスファンド」を一覧表で比較してみましょう。各項目の重要ポイントは本文内で解説するので、ここですべて理解できなくても大丈夫です。

 

■おすすめの全世界株式の比較表

ファンド名

eMAXIS Slim全世界株式
(オール・カントリー)

eMAXIS Slim
全世界株式
(除く日本)

SBI・全世界株式
インデックス・
ファンド

SBI・V・全世界株式
インデックス・
ファンド
楽天・全世界株式
インデックス・
ファンド
愛称 オルカン 雪だるま
(全世界株式)
SBI・V・
全世界株式
楽天・VT
ベンチマーク
にする指数

MSCIオール・
カントリー・
ワールド・
インデックス
(MSCI ACWI)

MSCIオール・
カントリー・
ワールド・
インデックス(除く日本)
(MSCI ACWI 除く日本)

FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
(FTSE GACI)

(参考)
実際の投資対象

・外国株式インデックス
マザーファンド
・新興国株式インデックス
マザーファンド
・日本株式インデックス
マザーファンド

・外国株式インデックス
マザーファンド
・新興国株式インデックス
マザーファンド

・VT
・SPDW
・SPEM
VT

・VT
・VTI
・VXUS

投資する銘柄数 約3,000銘柄 約8,000銘柄
企業の規模 大型株・中型株
※時価総額ベースで約85%をカバー
大型株・中型株・小型株
※時価総額ベースで約98%をカバー
信託報酬
(運用コスト)
0.1144%
※5/11より0.1133%
0.1144%
※5/11より0.1133%
0.1102% 0.1338% 0.199%
トータル
リターン
1年 +8.62% +8.73% +8.36% +8.00% +7.81%
3年 +16.65% +16.97% +16.66% データなし +16.63%
5年 データなし データなし +10.47% データなし +10.48%
純資産額 9,686,92億円 2,268.77億円 972.15億円 213.24億円 2,611.13億円
設定日 2018年10月31日 2018年3月19日 2017年12月6日 2022年1月31日 2017年9月29日
運用会社 三菱UFJ国際投信 SBIアセットマネジメント 楽天投信
投資顧問
解説を読む 解説へ 解説へ 解説へ 解説へ 解説へ

※「%」はすべて年率(税込)
※トータルリターンと純資産額は、ウェルスアドバイザー株式会社の2023年4月4日時点のデータを使用

 

ご覧のように、同じ「全世界株式」でも投資対象やコストが異なり、リターンもわずかですが違ってきます。

 

次章では、数ある全世界株式インデックスファンドのなかから、あなたに合った銘柄を選ぶポイントを解説します。

 

1.「全世界株式インデックスファンド」の選び方のポイント3つ

「全世界株式インデックスファンド」の選び方のポイント3つ
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

全世界株式インデックスファンドを探すために、楽天証券が提供している『投信スーパーサーチ』という無料ツールを使って次の4つの条件を入れて検索すると、2023年4月5日時点で79銘柄がヒットします。

 

  1. インデックスのみ
  2. 株式
  3. グローバル(日本除く)
  4. グローバル(日本含む)

 

この方法だけでもだいぶ絞ることができましたが、79本のなかには「先進国株式」も含まれるため、ここからさらに絞り込む必要があります。選び方のポイントは、以下の3つです。

 

■「全世界株式インデックスファンド」の選び方のポイント

  1. ベンチマークにする指数は「MSCI」か「FTSE」か?
  2. 信託報酬が安い
  3. 純資産額が100億円以上

 

それぞれ解説します。

 

同じような投資信託(インデックスファンド)を比較するときに、投資信託の運用効率を測るシャープレシオや、ベンチマークにしている指数との「乖離率」に注目する方法もあります。どちも間違いではありませんが、運用成績次第で変動するので、最初に選ぶ段階で厳密に絞り込む必要はないと筆者は考えます。

 

ポイント①:ベンチマークにする指数は「MSCI」か「FTSE」か?

全世界株式がベンチマークにする指数には、大きく分けると「MSCI」と「FTSE」の2つがあります。

 

■「MSCI」と「FTSE」の比較

指数 算出会社 投資
対象
構成
銘柄数
主なインデックスファンド

MSCIオール・カントリー・
ワールド・インデックス
(略称:MSCI ACWI)

モルガンスタンレー・
キャピタル・
インターナショナル

大型株
中型株
約3,000

・eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)

・たわらノーロード全世界株式

FTSEグローバル・
オールキャップ・インデックス
(略称:FTSE GACI)

FTSE
インターナショナル

大型株
中型株
小型株
約8,000

・SBI・全世界株式インデックス・ファンド

・SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド

・楽天・全世界株式インデックス・ファンド

 

厳密にいうと、「MSCI ACWI」には日本株を除いた「MSCI ACWI 除く日本」という指数もありますが、「MSCI」と「FTSE」の2つを押さえておけば問題ありません。

 

そして、「MSCI」と「FTSE」の大きな違いは、(時価総額が小さい)小型株を含むどうか。

 

大型株と中型株に投資をするのが「MSCI ACWI(以下、MSCI)で、世界47ヵ国・地域の約3,000銘柄で構成されています。一方、小型株にも投資をするのが「FTSE GACI(以下、FTSE)」で、世界46ヵ国・地域の約8,000銘柄で構成されています。

 

どっちの指数のほうが圧倒的に優れているということはなく、最終的には好みの問題になります。具体的には、大型株と中型株だけで充分という方は「MSCI」、これから成長が期待できる小型株にも満遍なく投資をしておきたい方は「FTSE」を選ぶことをおすすめします(2つの指数のパフォーマンス比較は3章で解説)。

 

 

ポイント②:信託報酬が安い

信託報酬のイメージ図
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

信託報酬とは、投資信託の運用や管理にかかるコストのことです。銘柄ごとに異なり、指数に連動する運用を目指すインデックスファンドの信託報酬の平均は年0.1~0.2%程度。一方、指数を上回る運用成績を目指すアクティブファンドの信託報酬の平均は年1.0~2.0%程度となっています。

 

運用コストのわずかな差が10年後や20年後に大きなパフォーマンスに大きな差となって表れるので、低コストのインデックスファンドを毎月積立買付することが最近の資産運用ではセオリーになっています。そのため、全世界株式インデックスファンドを選ぶ場合も、信託報酬が0.2%以内の銘柄を選んでおけば、コスト面では問題ありません。

 

なお、投資信託の運用コストは、信託報酬に加えて「ETF経費率」がかかります。最終的にかかったコストは「実質コスト」という形で発表されますが、運用終了後に判明するため、銘柄を選ぶ段階ではあまり意識する必要はないと筆者は考えます。

 

 

ポイント③:純資産額

純資産額のイメージ図
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

投資信託の時価総額のことを「純資産」といい、“ファンドの規模”を表します。大きければ大きいほどそのファンドを買っている人がいることになるので、純資産は「人気のバロメーター」と捉えることもできます。

 

この純資産が少ないと運用を続けることが困難になり、「繰上償還(運用が強制終了されること)」になる場合もあります。そして、一概には言えませんが、この繰上償還のリスクが低いとされている目安が「純資産(純資産残高)100億円以上のファンド」とされています。

 

そのため、運用を開始したばかりのファンドではない限り、純資産額が100億円以上で、できれば資金流入が続いて純資産残高が右肩上がりに増加している銘柄を選ぶことをおすすめします。

 

2. おすすめの「全世界株式インデックスファンド」5本を紹介

おすすめの「全世界株式インデックスファンド」5本を紹介
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

先ほどお伝えした全世界株式インデックスファンドの選び方を踏まえて、本記事でおすすめする銘柄を厳選して5本紹介します。購入できる主な証券会社も載せているので、参考にしてください。

 

なお、純資産やトータルリターンの数字は、ウェルスアドバイザー株式会社の2023年3月29日時点のデータです。

①「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」

「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の目論見書
(引用:「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」)

 

ファンド名 eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
資産クラス 全世界株式
連動する指数 MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス
基準価額 24,075円
純資産額 2兆9,317.07億円
信託報酬(税込) 0.05775%
トータルリターン +35.21%(1年)、+19.47%(3年)、+17.40%(5年)    
運用会社 三菱UFJアセットマネジメント(旧三菱UFJ国際投信)
ファンドの特色

業界最低水準の運用コストを将来にわたって目指すことで人気の「eMAXIS Slim」シリーズ。
愛称は『オルカン』。日本を含む47ヵ国の先進国と新興国の株式に投資できる。
投資先の割合は、1位がアメリカ、2位が日本、3位がイギリス。
2024年2月29日に、中国株を66銘柄除外&インド株を5銘柄追加し、構成銘柄の入れ替えを実施。
投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2023のイベントでは、5年連続で1位を獲得。

※表のなかのファンド名をクリックすると、最新の価格やチャートが見れます。

 

全世界株式インデックスファンドのなかでも、純資産が1兆円に迫って最も人気があるのが「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」です。

 

ちなみに筆者は、このオルカンを楽天証券のつみたてNISAで月33,333円と(楽天)ポイント投資の500円分に加えて、マネックス証券のクレカ積立でも月50,000円を積立買付しています。

 

筆者の楽天証券での積立設定状況
■筆者の楽天証券での積立設定状況

 

筆者のマネックス証券での積立設定状況
■筆者のマネックス証券での積立設定状況

 

購入できる主な金融機関

SBI証券、楽天証券、松井証券、マネックス証券、auカブコム証券、LINE証券、PayPay証券、三菱UFJ銀行を含む21社

 

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②「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」

「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」の目論見書
(引用:「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」)

 

ファンド名 eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)
資産クラス 全世界株式
連動する指数 MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本)
基準価額 24,269円
純資産額 4,542.23億円
信託報酬(税込) 0.05775%
トータルリターン +34.96%(1年)、+19.75%(3年)、+17.66%       
運用会社 三菱UFJアセットマネジメント(旧三菱UFJ国際投信)
ファンドの特色 業界最低水準の運用コストを将来にわたって目指し続けることで人気の「eMAXIS Slim」シリーズ。
『eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)』から日本を除く先進国と新興国の株式に投資できる。
投資先の割合は、1位がアメリカ、2位がイギリス、3位がカナダ。
すでに日本の個別株式を保有しており、日本株の資産構成比を高めたくない人におすすめ。
投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2023」のイベントでは、5位にランクイン。

※表のなかのファンド名をクリックすると、最新の価格やチャートが見れます。

 

同じ「eMAXIS Slim全世界株式」でも、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本)をベンチマークにしているのが「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」です。

 

「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は日本株を約5.4%を組み入れているため、〈除く日本〉のほうはそのぶん米国やイギリスの比率が高くなっています。

 

すでに日本の個別銘柄を多く保有しており、日本株の保有比率をこれ以上高くしたくない方は、「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」は有力な候補の一つです。

 

購入できる主な金融機関

SBI証券、楽天証券、松井証券、マネックス証券、auカブコム証券、大和CONNECT証券、三菱UFJ銀行、千葉銀行を含む17社

 

・「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」と「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」…どっちを選ぶべき?

・「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」と「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」…どっちを選ぶべきか?
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

よくあるのが、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」と「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」はどっちを買えばよいのか?という質問。運用会社と信託報酬は同じで、日本株が入っているか否かの違いなので、判断に迷う方は多いはずです。

 

そこで、〈除く日本〉を推す理由として多いのが次の2つ。

 

  • 日本の個別株をすでに保有しているから
  • 日本は人口が減って成長が期待できないから

 

どちらも間違いではありませんが、筆者の意見としては、オルカンのほうがおすすめです。

 

なぜなら、たとえば日経平均が500円上昇した場合、オルカンであれば、自分の資産も増えて素直に喜べるからです。しかし〈除く日本〉の場合、自分が住んでいる国の株価が上がっても、恩恵が受けられません。そのため、国内上場企業を応援するつもりでオルカンを購入して上昇を期待したほうが、気分的に楽に資産運用ができると考えます。

 

③「SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))」

③「SSBI全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))」
(引用:『SBI・全世界株式インデックス・ファンド』の交付目論見書)

 

ファンド名 SBI・全世界株式インデックス・ファンド
資産クラス 全世界株式
連動する指数 FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
基準価額

22,609円

純資産額 1,911.85億円
信託報酬(税込) 0.1102%
トータルリターン +33.25%(1年)、+18.54%(3年)、+16.68%(5年)
運用会社 SBIアセットマネジメント
ファンドの特色

愛称は『雪だるま(全世界株式)』。3つのETF「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」(VT)、
「SPDR ポートフォリオ・ディベロッブ・ワールド(除く日本く)ETF」(SPEW)、
「SPDR ポートフォリオ・エマージングマーケッツETF」(SPEM)を通じて、
日本を含む先進国・新興国などの全世界の株式約8,000銘柄(大型・中型・小型株)に投資できる。

※表のなかのファンド名をクリックすると、最新の価格やチャートが見れます。

 

SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))は、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスへの連動を目指すにあたり、次の3本のETFを組み入れる形をとっている点に特徴があります。

 

・VT:バンガード・トータル・ストック・マーケットETF
・SPEW:SPDR ポートフォリオ・ディベロッブ・ワールド(除く日本く)ETF
・SPEM:SPDR ポートフォリオ・エマージングマーケッツETF

 

販売会社が少ないこともあり、純資産はそこまで大きくありません。しかし、雪だるま(全世界株式)の信託報酬は本記事で紹介する5本の全世界株式インデックスファンドのなかは最安です。

 

ちなみに筆者は、SBI証券のiDeCo(セレクトプラン)で毎月23,000円の掛金を雪だるま(全世界株式)に拠出して老後に備えています。

筆者のiDeCo資産状況
 
現在の資産状況
 

 

購入できる主な金融機関

SBI証券、楽天証券、松井証券、マネックス証券、auカブコム証券、GMOクリック証券、PayPay銀行ほか10社

 

関連記事

 

④「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・全世界株式)」

「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・全世界株式)」の目論見書
(引用:「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド」の交付目論見書)

 

ファンド名 SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド
資産クラス 全世界株式
連動する指数 FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
基準価額 14,700円
純資産額 401.31億円
信託報酬(税込) 0.1338%
トータルリターン +33.46%(1年)
運用会社 SBIアセットマネジメント
ファンドの特色 愛称は『SBI・V・全世界株式』。2022年1月31日に設定。
世界最大級の運用会社バンガード社の「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」を通じて、
日本を含む先進国・新興国などの全世界の株式約8,000銘柄(大型・中型・小型株)に投資できる。

※表のなかのファンド名をクリックすると、最新の価格やチャートが見れます。

 

SBI・Vシリーズは、SBIアセットマネジメントが運用する2019年に誕生した投資信託のシリーズ名称で、どれも低コストなのが特長です。

 

先ほどの③「SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))」と同じくFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスへの連動を目指しますが、③「雪だるま(全世界株式)」は3本のETFを組み入れるのに対して、④「SBI・V・全世界株式」は「VT」という1本のETFのみに投資する形をとっています。

 

違いは、④「SBI・V・全世界株式」は純粋に指数に連動するように設計されているのに対して、③「雪だるま(全世界株式)」はできるだけコストを安くしながら指数に連動することを目指す仕組みになっている点です。

 

そのため、投資信託で純粋にVTと同じリターンを狙いたい方は④「SBI・V・全世界株式」VTと完全に値動きが同じではなくても、コストの分だけ少しでも高いリターンを狙いたい方は③「雪だるま」を選ぶいったように使い分けることをおすすめします。

 

なお、SBI証券のつみたてNISAではどちらのファンドも取り扱いがありますが、SBI証券のiDeCoには「SBI・V・全世界株式」の取り扱いがありません。その代わりに、SBI証券のiDeCo(セレクトプラン)で「雪だるま」を選ぶことができます。

 

購入できる金融機関

SBI証券、auカブコム証券の2社

 

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⑤「楽天・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・VT)」

「楽天・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・VT)」の目論見書
(引用:「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」の交付目論見書)

 

ファンド名 楽天・全世界株式インデックス・ファンド
資産クラス 全世界株式
連動する指数 FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
基準価額 23,209円
純資産額 4,584.15億円
信託報酬(税込) 0.192%
トータルリターン +33.38%(1年)、+18.54%(3年)、+16.75%(5年)
運用会社 楽天投信投資顧問
ファンドの特色

愛称は『楽天・VT』。世界最大級の運用会社バンガード社の「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)」
「バンガード・トータル・インターナショナル・ストックETF(VXUS)」を通じて、日本を含む先進国・新興国などの全世界の株式約8,000銘柄(大型・中型・小型株)に投資する。
投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2023」のイベントでは、17位にランクイン。

※表のなかのファンド名をクリックすると、最新の価格やチャートが見れます。

 

「楽天・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・VT)」は、③「雪だるま(全世界株式)」と④「SBI・V・全世界株式」と同じくFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスへの連動を目指しますが、次の3本のETFに投資する形をとっています。

 

・VT:バンガード・トータル・ワールド・ストックETF
・VTI:バンガード・トータル・ストック・マーケットETF
・VXUS:バンガード・トータル・インターナショナル・ストックETF

 

同じ指数への連動を目指す投資信託でも、どのETFに投資するかの“スキーム”の違いによって投資信託の信託報酬も若干異なります。

 

ETFの名前を一つ一つ覚える必要はありませんが、「同じ指数をベンチマークにしているのに信託報酬が違うのはなぜ?」と疑問に思ったときは、このことを思い出してください。

 

購入できる主な金融機関

SBI証券、楽天証券、松井証券、マネックス証券、auカブコム証券、LINE証券、PayPay証券、三菱UFJ銀行ほか

 

関連記事

 

3.「MSCI」と「FTSE」…ベンチマークにする指数のパフォーマンスを比較

「MSCI」と「FTSE」…ベンチマークにする指数のパフォーマンスを比較
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

1章では、全世界株式インデックスファンドを選ぶポイントの1つとして、大型株と中型株だけで充分という方は「MSCI」、これから成長が期待できる小型株にも満遍なく投資をしたい方は「FTSE」に連動する銘柄を選ぶ方法を紹介しました。

 

しかし、どちらの指数に連動する投資信託を選んだほうが将来受け取る金額を最大化できそうか、気になる方も多いと思います。

 

そこで本章では、2つの指数の過去の運用パフォーマンスを比較し、どちらのほうが優位性がありそうかを検証します。ただし、指数そのものは実際に取引されていないので、「MSCI」は「ACWI」「FTSE」は「VT」というETF(上場投資信託)を代用します。

 

利用するツールは「ETFreplay.com」で、ACWI(MSCI)が緑色、VT(MSCI)が水色です。

 

「MSCI(ACWI)」と「FTSE(VT)」のパフォーマンス比較グラフ

 

すると、過去15年間のトータルリターンは次のようになります。

 

  • ACWI(緑色):137.2%
  • VT(水色):152.6%

 

この結果だけを見ると、小型株を含む世界46ヵ国・地域の約8,000銘柄に投資する「VT」、つまり「FTSE」のほうが過去の運用成績は良好でした。このことから考えると、大型株と中型株が中心で約3,000銘柄に投資する「ACWI」、つまり「MSCI」よりも今後も高いパフォーマンスをあげられる確率が高いと考えられます。


ただし、未来のことは誰にもわからないので、将来も必ず過去と同じ結果になるとは限りません。投資を始めるタイミングや売却時の価格、投資信託の信託報酬の違いによっても、将来受け取る金額は変わります。そのため、FTSEのほうがMSCIより優れていると一概に言うことはできません。参考程度にして、総合的に判断するようにしましょう。

 

ちなみに、本記事で紹介したファンドで「FTSE」をベンチマークにしている銘柄は、次の3本です。

 

■「FTSE」がベンチマークのおすすめ全世界株式インデックスファンド

③「SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))」

④「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・全世界株式)」

⑤「楽天・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・VT)」

 

4.「全世界株式インデックスファンド」に投資!おすすめネット証券3選

「全世界株式インデックスファンド」に投資するのにおすすめのネット証券3選
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

購入する全世界株式インデックスファンドが決まったら、取引する証券会社を選びましょう。

 

本記事で紹介した5本の投資信託の購入時手数料はどこも無料なので、取引したい商品の取扱いの有無をはじめ、クレカ積立やポイント還元などの証券会社独自のサービス内容によって判断することをおすすめします。

 

本章では、投資信託の取扱い銘柄数が多い、おすすめのネット証券を3社紹介します。

 

■おすすめのネット証券3社

  1. SBI証券
  2. 楽天証券
  3. 松井証券

 

各社の特徴について説明します。なお、投資信託の取扱い銘柄数は、2023年4月5日時点のものです。

 

① SBI証券

SBI証券
(引用:SBI証券)

 

・SBI証券の基本スペック

総合口座の数 1,000万超(SBIグループ全体)
投資信託の銘柄数 2,638本
つみたてNISAの銘柄数 205本
iDeCoの銘柄数 38本(セレクトプラン)
クレカ積立のカード 三井住友カード東急カード、新生アプラスカード、タカシマヤカード
クレカ積立の
ポイント付与率
0.5~5.0%(三井住友カード)

※ 2024年9月10日(火)積立設定締切分(2024年10月1日(火)買付分)までのポイント付与。以降は対象カードごとのカードご利用金額などに応じたポイント付与率になります。また、三井住友カードつみたて投資のご利用金額は、プラチナプリファードの新規入会&利用特典、継続特典の付与条件であるご利用金額の集計対象となりません。

貯まるポイント Vポイント、Tポイント、Pontaポイント、dポイント、JALポイント
ポイント投資 Vポイント投資、Tポイント投資、dポイント投資
口座開設サポート

・フリーダイヤル:0120-104-250

・携帯からの場合:0570-082-241(有料)

・平日:8時~17時

・土日(祝日を除く):9時~17時

 

SBI証券は、グループ全体(SBI証券、SBIネオモバイル証券、SBIネオトレード証券、FOLIO)の口座数が1,000万を突破した、業界トップの総合オンライン証券です。三井住友カードをはじめ、クレカ積立ができるカードの種類が多く、ユーザーの利便性が高いのが特長となっています。

 

また、SBI証券はつみたてNISAの取扱い銘柄数が最多なのに加えて、2023年上半期までに国内現物株の取引手数料を無料にする予定など、初心者から上級者まで幅広い層におすすめできる総合力が高いネット証券です。

 

・SBI証券のつみたてNISAでおすすめの全世界株式インデックスファンド

本記事で紹介した全世界株式インデックスファンドのうち、SBI証券のつみたてNISAで選べるのは次の2銘柄です。

 

  • eMAXIS Slim全世界株式(除く日本オール・カントリー)
  • SBI・全世界株式インデックス・ファンド(雪だるま(全世界株式))

 

・SBI証券のiDeCoでおすすめの全世界株式インデックスファンド

本記事で紹介した全世界株式インデックスファンドのうち、SBI証券のiDeCo(セレクトプラン)で選べるのは次の2銘柄です。

 

  • eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)
  • SBI・全世界株式インデックス・ファンド(雪だるま(全世界株式))

 

\ iDeCoで雪だるま(全世界株式)が唯一買える/

SBI証券の公式サイトを見る

 

関連記事

 

 

② 楽天証券

楽天証券
(引用:楽天証券)

 

・楽天証券の基本スペック

総合口座の数 900万超 ※単体では業界トップ
投資信託の銘柄数 2,628本
つみたてNISAの銘柄数 194本
iDeCoの銘柄数 32本
クレカ積立のカード 楽天カード ※ほかに「楽天キャッシュ決済」もあり
貯まるポイント 楽天ポイント
ポイント投資 楽天ポイント投資
口座開設サポート

・フリーダイヤル:0120-41-1004

・携帯からの場合:03-6739-3333(有料)

・平日:8時30分~17時(土日祝を除く)

 

楽天証券はつみたてNISAの口座数がトップなのに加えて、iDeCoの新規加入者が3年連続で第1位と口座開設者が増加しており、楽天経済圏を活用している人には特におすすめのネット証券です。

 

楽天ポイントを貯めるには、楽天カードでクレカ積立(還元率は0.2~1.0%)をするか、楽天カードから楽天キャッシュにチャージ(還元率は0.5%)して積立設定をする方法があります。

 

また、他社のポイント投資とは異なり、貯まった楽天ポイントをそのまま投信積立の金額の一部または全部に利用することができます。そのため、楽天証券では現金を使うことなく気軽に投資を始めることもできます。

 

・楽天証券のつみたてNISAでおすすめの全世界株式インデックスファンド

本記事で紹介した全世界株式インデックスファンドのうち、楽天証券のつみたてNISAで選べるのは次の2銘柄です。

 

  • eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
  • 楽天・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・VT)

 

・楽天証券のiDeCoでおすすめの全世界株式インデックスファンド

本記事で紹介した全世界株式インデックスファンドのうち、楽天証券のiDeCoで選べるのは次の銘柄です。

 

  • 楽天・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・VT)

 

\つみたてNISAのシェア第1位/

楽天証券の公式サイトへのリンク

 

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③ 松井証券

松井証券
(引用:松井証券)

 

・松井証券の基本スペック

総合口座の数 約139万口座(2022年3月末)
投資信託の銘柄数 1,678本
つみたてNISAの銘柄数 190本
iDeCoの銘柄数 40本
クレカ積立のカード なし
貯まるポイント 松井証券ポイント
ポイント投資

次の3本のみ可能
①eMAXIS Slim先進国株式インデックス
②eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
③ひふみプラス

口座開設サポート

・フリーダイヤル:0120-021-906

・携帯からの場合:03-6387-3601(有料)

・平日:8時30分~17時

 

2022年12月にブランドイメージを刷新した松井証券は、商品ラインナップやカスタマーサポートが充実している、バランスが優れたネット証券です。

 

クレカ積立はありませんが、対象の投資信託を保有していると信託報酬の一部を毎月還元する「投信毎月現金・ポイント還元サービス」というユニークなサービスを実施。現金ではなく「松井証券ポイント」での還元を選ぶと、10%上乗せしてポイントが付与されます。

 

貯まった松井証券ポイントは、PayPayポイントやdポイント・Amazonギフトカードなどを含む3,000種類以上の商品に交換することができるほか、3本の投資信託に限って積立投資にも利用できます。

 

また、つみたてNISAやiDeCoの商品ラインナップは"SBI証券と楽天証券のいいところ取り"のような感じで、eMAXIS Slimシリーズも楽天インデックス・シリーズも選ぶことができます。

 

・松井証券のつみたてNISAでおすすめの全世界株式インデックスファンド


本記事で紹介した全世界株式インデックスファンドのうち、松井証券のつみたてNISAで選べるのは次の2銘柄です。

 

  • eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
  • 楽天・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・VT)

 

・松井証券のiDeCoでおすすめの全世界株式インデックスファンド


本記事で紹介した全世界株式インデックスファンドのうち、松井証券のiDeCoで選べるのは次の2銘柄です。

 

  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
  • 楽天・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・VT)

 

\山本美月さんをイメージキャラクターに起用/

松井証券で口座開設する

 

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5. よくある質問

全世界株式インデックスファンドに関するQ&A
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

最後に、全世界株式インデックスファンドに関するよくある質問に5つ回答します。

Q1.「全世界株式が最強」という意見があるのはなぜですか?

様々な考え方がありますが、1本のファンドで50ヵ国弱に分散投資ができ、どこの国の経済が発展して株価が上がっても、投資信託の基準価額の上昇という形で世界経済の成長の恩恵を受けることができる点が理由の1つです。

 

Q2.「全世界株式はおすすめしない」という意見があるのはなぜですか?

投資方法には正解がないので、「全世界株式はおすすめしない」という考え方があって当然です。おそらく、「全世界株式には成長率が低い国の株式も含まるため、株価上昇の足を引っ張る」と考える人もいるからだと考えます。

 

ただし、株価が上昇する国だけを選別して投資ができる人は別ですが、投資のプロでもすべてを正確に予想することは困難です。そのため、どこの国の株式が上がってもいいように、世界中の株式を丸ごと買っておき、世界経済全体の成長に期待するのが全世界株式に投資する基本的な考え方です。

 

Q3.「全世界株式」と「米国S&P500」はどっちがおすすめですか?

最近の資産形成では、「米国S&P500」をベンチマークにするインデックスファンドに投資する方法も人気です。全世界株式も約60~70%は米国株に投資をするので、「全世界株式」も「米国S&P500」も過去の運用成績に大きな差はありません(「米国S&P500」のほうが若干良好)。

 

しかし、筆者の意見としては全世界株式のほうがおすすめです。なぜなら、米国の株価が今後も安定して上昇し続けるとは限らないので、全世界株式を選んで国や地域を分散させておいたほうが、世界同時株安になったときに保有資産に与えるダメージが少なくて済むはずだと考えるからです。

 

Q4. つみたてNISAで「全世界株式インデックスファンド」のみに投資するのはありですか?

全世界株式インデックスファンドを1本選ぶだけで50ヵ国弱の数千にもおよぶ企業に分散投資ができるので、さらに別のファンドを買う必要はないと筆者は考えます。

 

実際に筆者は、楽天証券のつみたてNISAでは「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」のみ積立設定をしています。

筆者のつみたてNISAの設定状況
 
筆者の楽天証券でのつみたてNISAの積立設定状況
 

Q5. 他におすすめの全世界株式はありますか?

2023年4月7日に信託報酬が年0.132%から年0.1133%に引き下げた、アセットマネジメントOneが運用する「たわらノーロード 全世界株式」もおすすめです。これに対抗して、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬は2023年5月11日から同じ0.11325%に引き下がりました。

 

また、日興アセットマネジメントが信託報酬をオルカンの半分程度の年0.0525%に設定した「Tracers MSCI オール・カントリー・インデックス(全世界株式)」の運用を2023年4月26日から開始すると発表し、「本当に実現できるの?」とSNSで話題になっています。

 

詳細がわかり次第、本記事でもお伝えします(出典:『ネット専用投信「Tracers オールカントリー」、eMAXIS Slim“オルカン”の約半分のコストで登場』)。

 

6. まとめ

全世界株式インデックスファンドのまとめ
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

この記事では、全世界株式インデックスファンドについて解説しました。

 

資産形成の必要性を感じているけれども、何から始めたらいいか迷っている方は、本記事で紹介した5本のなかから選んで毎月積立買付をすれば、世界経済の成長とともに着実に資産を増やせる可能性は高いと考えられます。

 

「もう少し株価が回復してから始めよう」「1円でも多く増やしたいから、もう少し勉強してから始めよう」と考えている方は、売却時にならないと受取金額はわかりません。このことを理解して、始めない理由を探すよりも、まずは証券口座を開設し、100円でもいいので積み立ててみて、学びながら徐々に金額を増やすことをおすすめします。

 

本記事がきっかけとなり、あなたが資産形成の第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

 

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