(※写真はイメージです/PIXTA)

65歳から平均余命の約20年間で6万時間の自由な時間があるといいます。つまり、効率や生産性、ノルマや期限から解放された自分でコントロール可能な自由な時間です。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

義務ではなく、あくまで「楽しむため」

毎日1時間の散歩を趣味にしていた方が入院したとしましょう。入院して脚力が落ちてしまい、1時間の散歩もままならなくなってしまいました。しかし、だからと言って、その後まったく歩けなくなったわけではありません。20分は散歩できたり、休みながらであればもっと歩けたりするかもしれません。

 

ならば、散歩を20分のコースに替えればいいのです。20分でも歩くことで歩行機能は保たれます。

 

すると、屋外の空気を吸ったり、お気に入りのお店に通うこともできます。

 

ただしここで注意したいのは、「歩行機能の維持のために散歩をしなければならない」なんて義務のように思ってほしくないということです。

 

義務だと考えて「1日1万歩」などと、ご自身に対してノルマを課してしまうと、先のように入院して1時間の散歩が難しくなったときに、「ああ2000歩しか歩けない。これじゃ、歩いたことに入らない。辞めてしまおう」と、心が折れて残されていた機能すら、危うくなってしまうのです。

 

義務ではなく、あくまで「楽しむため」と頭を切り替えましょう。

 

それが許されるのが、65歳の強み。そう、みなさんに時間はたっぷりあるのですから。

 

■定年後に書き入れる予定

 

そうは言っても、今のところ、「65歳からの予定は白紙」だという方は多いと思います。

 

そこでまずは、そもそもどんな予定を入れていこうかということから、時間の使い方の話を始めていきましょう。

 

時間の使い方は人それぞれ自由です。そのため書き入れていく予定も、みなさん異なっていきます。

 

ただ、それぞれ分けてみると、書き入れる予定は基本的には次の3つになるのではないでしょうか。

 

①仕事の時間
②趣味の時間
③生活の時間

 

仕事の時間とは、名前のとおりで、働く予定のことです。定年を迎えたからと言って、働くことを完全に辞める人ばかりではないでしょう。また働いてみることで気持ちに余裕が生まれたり、新しい世界に挑戦もできます。

 

次に趣味の時間とは、楽しむ予定のことです。一人で深めていきたい分野や、仲間同士でやってみたい物事など。長年やってきたこともあれば、これから始めたいこともあるでしょう。

 

最後に生活の時間は、健康維持のための習慣や、ご家族と過ごしていく時間などです。仕事をするにしても、趣味を楽しむにしても、体や心の健康もご家族との関係も重要で、いずれも予定の中に組み込んで管理したいところです。

 

和田 秀樹
ルネクリニック東京院 院長

 

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※本連載は和田秀樹氏の著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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