(※写真はイメージです/PIXTA)

「意欲がなくなってきた」「何かをするのが億劫になった」…意欲がなくなれば、行動をしなくなり、体や頭を使うことが減り、心も体もさらに衰えていきます。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

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「感情の老化」の原因は前頭葉の萎縮

■アウトプットで老化を遅らせよう

 

65歳を過ぎれば、ぜひアウトプットを大事にしてください。

 

なぜなら、アウトプットによって老化を遅らせることができるからです。

 

老いていくのは体の機能だけに限ったものではありません。感情も老化します。感情の老化とは、次のようなことです。

 

「意欲がなくなってきた」
「何かをするのが億劫になった」
「頭がカタくなって、新しいことを受け入れられなくなった」
「最近、感動することが減った」

 

これら感情の老化の原因は、前頭葉の萎縮にあります。

 

意欲がなくなれば、行動をしなくなり、体や頭を使うことが減り、心も体もさらに衰えていきます。私は、感情の老化は体の老化以上におそろしいとすら思っています。

 

感情の老化を遅らせるためにすべきことは、前頭葉の萎縮を遅らせることです。前頭葉が萎縮すること自体は、脳の老化現象のひとつですから、誰にでも起こります。これは生き物として当然のこと。

 

ですが、それを遅らせることは可能です。

 

前頭葉の萎縮を遅らせるためには、前頭葉を使い続けることが重要になります。

 

コツは、ルーティンをできるだけ避けることです。ルーティンとは、長年続けてきた習慣、日課、繰り返している行動パターンなどを指します。これらはあまり頭を使わずとも、こなすことができます。ですから、脳への刺激は低く、感動も薄くなります。前頭葉を使うためには驚いたり、感動したりすることが必須なのです。

 

そこで、できるだけルーティンにはまらないことを行うようにしましょう。

 

つまり、新しい体験をしていくということ。新しい体験は、予想をする楽しみや、それがくつがえされる驚きなど、新鮮さに満ちています。そのたび、脳には刺激が与えられ、しっかりと活動してくれます。

 

ここで言う新しい体験とは、すごい体験というわけでもありません。

 

普段はやらないこと、まだ経験がしていないことなら何でも構いません。

 

行ったことのない飲食店でランチをしたり、通ったことのない道を歩いてみたり、普段は読まない作家の本を読んでみたり。そんな小さな未体験を試してみてください。

 

そして、そこから「1日1発見」を日課にしてはいかがでしょうか。小さくとも新しい発見をしようと意識することで、前頭葉を確実に毎日使うことができます。

 

それによって、老化を防ぐことにつながっていくのです。

次ページ老化防止に効果的なアウトプット

※本連載は和田秀樹氏の著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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