(※写真はイメージです/PIXTA)

定年後に何もしないでいれば、体も心も老化が進んでいきます。「面倒だなあ」と思う気持ちは、仕事をしなくなって時間が余るようになったからと言って、あまり変わるとは思えません。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

60代こそSNSを積極的に活用

■いろいろなアウトプットも試してみよう

 

手帳へのアウトプットは、自分が読むためのパーソナルなものです。

 

ですが、そこから広がるアウトプットの可能性は非常に大きいと言えます。

 

手帳に書いておいた日記や気づき、アイデアを基にして、ブログやツイッターなどのSNSや、さらにはユーチューブなどの動画サイトで発信する、ということに挑戦してみるのもよいかもしれません。

 

私も長らくほぼ毎日、ブログを更新していました。疲れているときや、人と食事をした後などは、正直に言えば「面倒だなあ」という気持ちにもなりましたし、あまりきちんとした内容を書けていたわけでもありません。それでも続けることにしていました。

 

書いていた内容は、あくまで私の見方や考え方を書きなぐったもの。すべての方に同意されるわけでもなく、反論もあったかもしれません。ですが、それでも構いませんでした。自分の考え方のすべてが正しく、全員に受け入れられると思っているわけではありません。

 

ですが、それでも読んでくださって、反応をしてくれたり、共感のメッセージや役立つ情報をいただけたときには、とても嬉しくなりました。

 

60代になればこそSNSを積極的に活用してはいかがでしょうか。

 

手帳とは異なり、SNSなどでの発信は、不特定多数に向けて公開されるものです。

 

ですから「どのようにすれば、わかりやすく伝えられるか」「興味を持ってもらうためにはどんな工夫をしようか」などと、想像しながら発信していくことになります。前頭葉がさらに複雑に働くことになるのです。

 

伝わるような文章を書くためには、きちんと考えていくプロセスが必要とされます。文章は基本的に3つの要素から成り立っています。グラマー(文法)、ロジック(論理展開)、レトリック(修辞)です。

 

さらにメリハリをつけるために、起承転結などの構成まで考えること、読んでもらいやすい文章になっていきます。これはアウトプットの応用でもあり、そこまで考え出すとキリがないかもしれません。ですが、ひとつの文章を書いていく、こうした過程は、すべて脳を働かせる優れたトレーニングになっていきます。

 

「シニアになってSNSに力を入れるなんて……」と、何かに遠慮する必要はありません。

 

柴崎春通さんという70代のユーチューバーがいらっしゃいます。40年以上、水彩画講師を務めてきた方で、水彩画の技術などを紹介する動画を発信します。これが国内外で人気を博し、チャンネル登録者は150万を超えます。

 

このように、シニア世代がインターネットで発信をしている例が数多くあります。

 

そんな大げさに、たくさんのフォロワーを獲得したり、ビジネスにつなげたりすることは二の次です。感情の老化防止のために試してみるというのも、アウトプットの発展として良いと思います。

 

特に、自分自身が経験して得た知識や感情は、内容によっては大きな価値を持ち得ます。自分にとっては普通だけれども、他人が見れば面白いということは往々にしてあります。

 

アウトプットに意識が向くと、普段の生活でも「ネタ探し」として、新しい気づきを得たくなっていくでしょう。ネタはいつどこにあるか分かりません。

 

ですから、持ち運びのできる手帳が便利なのです。ネタは手帳に溜めて、それをまたSNSなどで発信するといった、アウトプットを重ねていくことで前頭葉が活動していきます。

 

さらに、定年後のこうした発信によって、新しい交流や人間関係ができたという方も多くいらっしゃいます。知らない人とのつながりが生まれてくるというのも、アウトプットを広げることによる1つの効果です。

 

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※本連載は和田秀樹氏の著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方

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