(※写真はイメージです/PIXTA)

何も起こってなさそうな一日に、何があったのかを思い出していくことで、前頭葉は活発に動かされます。何か思い返せることがあるはずです。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

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日本人の多くはアウトプットが苦手なワケ

■インプットを習慣づけられてきた日本人

 

アウトプットこそ、老化防止として効果的なのです。そこでどのようなアウトプットがいいのか、という話になります。

 

前回では、話すことがアウトプットになると説明しました。

 

話すことと同じように、書くこともまたアウトプットになります。

 

そう言われると、みなさんは「とにかく何でも書けば、アウトプットになるだろう」と思うかもしれません。

 

これが案外、そうでもありません。人によっては書くことも、インプットの領域になっている可能性があるからです。そして、そういう方は多いように考えられます。

 

なぜなら、日本人の多くが書くことによるインプットを、学生の頃から習慣づけられているからです。

 

みなさんは受験勉強や、学校で授業を受ける際にノートをとっていたことでしょう。これらは覚えるためであり、あとになっても思い出せるように書いたものでした。すべてインプットのためです。

 

大学生のレポートは一様に決まった話しか書かれていないとよく言われます。これもそもそもは、学生たちはアウトプットのやり方を教わっていないため。練習してきていないのですから分からなくて当然のことです。

 

学生時代を終えれば、社会人生活が始まります。

 

では、社会人になれば、アウトプットが始まるのでしょうか。

 

いいえ、そんなこともありません。

 

会社や組織に勤めても、書いているものは、ほぼすべてインプットのためばかりです。

 

部下への連絡事項、上司からの指示、会議の結論、スピーチの下準備など。これらはどちらかと言えば、そこに書いたことを覚えるためであり、つまりインプットになります。

 

「私はいつも、人に見せるために文書を書いてきました」という方でも、果たして本当にアウトプットになっていたのかは疑問です。

 

と言うのもビジネス文書の場合、創意工夫はあまり求められないからです。

 

多くの社会人にとってビジネス文書は、メールの挨拶文から報告書、企画書まで、一定のパターンやフォーマットがあり、これにのっとることで効率性を追究できました。そしてこれらを書く際には、あまり自らの感情を表してこなかったはずです。むしろ、個人の創意工夫は期待されずに、「前例踏襲で丸写し」という文書すら、あったかもしれません。

 

効率的であることはビジネスのシーンでは大きなメリット。こうした文書の書き方は、ビジネスマナーの一種として身に付ける必要があったでしょうし、身に付ければこそ、あまり頭を使わずにビジネス文書を、いわば量産し続けることができたはずです。

 

一方、プライベートでアウトプットをしてきたかと言えば、そういう方も多くはありません。

 

特に年を重ねればぐんと減っていきます。

 

例えば年賀状を送るときには、一言を書き添えていたかもしれません。しかし、それも「今年こそ飲みに行きましょう」と定型文のように繰り返し書いていた場合もあったでしょう。そうであるなら、あまり頭を使ったとも言えません。

 

このように、なかなか本当の意味でのアウトプットに慣れているという方は多くはないのです。

 

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    ※本連載は和田秀樹氏の著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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