(※画像はイメージです/PIXTA)

マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は、足元の為替相場について「基本的に米ドル高・円安がメインシナリオ」とみています。しかし、黒田総裁が最後の出席となる、10日の「日銀金融政策会合」次第では、見通しの大幅な修正を迫られるかもしれないと警告します。為替相場のメインシナリオを揺るがす「黒田リスク」について、みていきましょう。

今週も「米ドル高・円安傾向」継続か

そんな米金利上昇は、米インフレ・ピークアウトの見方が広がるなかで一巡し、2022年11月以降米金利は大きく低下に向かいました。

 

「日本の金利は米金利で決まる」という観点からすると、米金利が低下に転じたことにより、日本の金利もどこまで上がるか分からないといった状況は変わった可能性があるでしょう。

 

日銀は2022年12月に、10年債利回りの上限を0.5%に拡大しましたが、これは米金利状況が変わった影響も大きかったのではないでしょうか。

 

以上見てきたように、日銀は米金利上昇が加速に向かうと日本の金利に上限を設定し、米金利が低下に転じると上限の緩和を決めました。

 

10日の金融政策決定会合は、米金利上昇が再燃したなかで迎えることになります(図表6参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表6]日米の10年債利回りの推移(2021年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

これまで見てきた米金利との関係から考えると、上限の再拡大は見送られる可能性が高いのではないでしょうか。

 

以上を踏まえると、雇用統計など米経済指標発表や日銀の金融政策などの注意点はあるものの、基本的に米ドル高・円安傾向は今週も続く可能性が高いと考えています。今週の米ドル/円の予想レンジは134~138円中心で想定したいと思います。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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