老後資金を最優先、資産8,000万円を築いた66歳元会社員
「うちの実家、あまり裕福ではなくてね。いつも同じ服を着ていて、同級生にからかわれたこともあった。その影響で、お金を使うのに罪悪感があるというか、うまく使えないんですよ」
高校卒業から40年以上、地元の企業で真面目に働き続けた高橋弘さん(仮名・66歳)。彼の現役時代の信念は「お金だけは裏切らない」――とてもシンプルでした。
過去の環境や経験と無関係ではないでしょう。弘さんの人生は徹底した節約とともにありました。コンビニや自動販売機は使わず、手作り弁当と水筒を持参。車は20年以上乗り続け、ボーナスもコツコツ積立投資へ。
小さなマンションを買い、住宅ローンも完済。そのうえで、定年時に残った金融資産は退職金と合わせて約8,000万円に到達。月17万円の年金もあり、老後の資金繰りには何ひとつ不安がありません。
「結婚のタイミングもなくて、気づけばひとり。でもお金の心配はないし、そう悪い人生でもない。そう思っていたんだけどね……」
夏休みに際立つ孤独「一人でぽつん」
約1年前に仕事を辞めてから、心の中に別の感情が生まれるようになりました。
親兄弟はもうおらず、妻や子どももいません。それでも、自分のために使えるお金だけは十分にあります。しかし、自分には特別欲しいものはありません。多くの人は自分のためではなく、家族のためにお金を使います。その相手がいない中で、8,000万円という“使い道のない資産”を持っていることに、ある種のむなしさを感じるようになったのです。
食品の買い出しがてら立ち寄ったショッピングモールのフードコートは、夏休みを楽しむ家族連れで溢れていました。子どもたちの歓声や楽しげな会話の中、端に席を見つけてぽつんと座る自分。
「時間があり余っているので、『なんで自分はこうして一人ぼっちで生きているのか』『これでよかったのか』と考え込んでしまう。夏休みでワイワイにぎやかな家族が多いと、余計に孤独を感じてしまうんです」
