(※写真はイメージです/PIXTA)

投資用マンションは運用次第で、厚めの定期収入が得られる資産運用のひとつ。一方で予期せぬトラブルや環境変化で、損失を被るリスクもあります。例えば、退去を見込んでいた居住者が出ていかず、需要があるのに賃料値上げにも応じない…。こうした状況は、どう乗り切るのが最善なのでしょうか。実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、賃料値上げと退去交渉の勘所について、永野達也弁護士に解説していただきました。

10万円以上の賃料値上げは違法? 居住者は断固拒否。

相談者のkenさん(男性・仮名)は7ヵ月前に東京港区の区分マンションを購入。現入居者(90歳・男性)が、「賃貸借期間が残り7ヵ月」という状況を踏まえ、男性の退去後、kenさん自身が入居することを見据えての購入でした。

 

ところが、購入後のあいさつ時に、男性から「引き続き住み続けたい」と相談を受けました。kenさんとしては、男性が高齢で子どももいないこともあり、倫理的な観点からその申し出をひとまず承諾することに。

 

とはいえ、男性の現在の賃料は22万円(27坪、坪単価8,200円)で、相場と比べれば格安。市場価格と擦り合わせれば、賃料は50万円程度に設定可能です。リノベーションすれば、さらに上乗せし、65万円程度に設定することも可能と業者からは言われたといいます。

 

Kenさんとしては、本来は退去予定だったこともあり、男性が住み続けるにしても、せめて賃料増額はお願いしたいと考えていました。ところが、その提案に対し、男性から「一切応じられない」との旨で、書面による返答があったといいます。

 

契約満了までは5ヵ月。更新を拒否する場合は、オーナー側からその旨を半年前までに居住者に通知することで可能という賃貸借契約となっています。

 

相談者は、上昇幅を抑えた友好的な妥協案ということで賃料を40万円程度に設定し、契約満了の半年前に男性に提示しています。しかし、回答はなく、いまは退去してもらう方向で検討中です。

 

そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

 

(1)更新時の賃料の値上げは法的に問題があるのか。居住者が拒否した場合、法的にどんな落とし所があるのか。

 

(2)この状況で立退きを要求することは法的に問題があるか。また、どのくらいの立退料が適切なのか。

賃料増額は可能? 不当なのか?

一般的に、賃貸借契約の更新の際に賃料の見直しをすることはよくあることです。

 

また更新時に限らず、租税や物価の変動等によって賃料が不相当になった場合に、賃料を相当額に変更するよう求めることは問題ありません。このような賃料改定については、国土交通省が公表している「賃貸住宅標準契約書」など、一般的によく使われる賃貸借契約書にも条項として明記されていることが多いです。

 

賃料改定は、賃貸人と賃借人とが合意すれば、いつでも可能です。

 

では、賃借人が賃料改定(増額)を拒否した場合には、どのように対応すればよいでしょうか。

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