(※写真はイメージです/PIXTA)

国土交通省の報道発表によると、高齢者世帯を中心として、不動産売買・リースバックを活用した被害やトラブル事例が増えています。不利な契約を結ばされたとき、どのような法的措置をとることができるのでしょうか。そこで今回は、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービスによせられた質問をもとに、高齢者の不動産売買の被害事例やその救済方法について、西明優貴弁護士が解説していきます。

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高齢者の不動産売買の被害事例と法的救済

国土交通省があげた高齢者の不動産売買の被害事例について、いくつか抜粋して紹介します。

 

・強引な勧誘で不動産の売買契約をしてしまい、後々解約を申し出たら高額な違約金を請求された。

 

・市場での取引価格より著しく低額な代金で売却してしまった。

 

・買戻しができると聞いた。しかし、法的に買戻しができないようになっていた。

 

・認知症の診断がある高齢者に、突然不動産業者が訪問。セールストークに押され、いつのまにか契約を締結していた。

 

これらの事案の場合、どういった法的救済を受けられるのでしょうか。高齢者の立場に立った際に主張することとしては、以下の主張が考えられます。

 

・意思能力がなかった(すなわち法的に無効)と主張する。

 

・(意思能力がなかったとまではいえなくても)公序良俗違反であるため、無効と主張する。

 

・錯誤、詐欺、脅迫であったため契約を取り消すと主張する。

 

・不実告知や断定的判断の提供など消費者契約法違反であるため、契約を取り消すと主張する。

 

一つ目は、意思能力の欠如を理由に、当該契約を法的に無効にするというものです。また、意思能力がなかったとまではいえずとも、取引内容が著しく不適切であった場合に、公序良俗違反として契約無効を主張することもあります。

 

あるいは、思い違いがあった、騙された、脅迫されて無理やり契約を締結した、など、契約をした高齢者自身の意思表示に問題がある場合や、その意思形成過程に問題がある場合は契約を取り消すことができます。

 

さらに、不実告知や断定的判断の提供などの、消費者契約法違反を主張することで、契約を取り消すことができます。

 

消費者契約法は、民法の特別法にあたり、消費者に特別な保護を与えるための要件や、どうすれば消費者契約法の保護対象になるかの要件など、民法と異なりがあります。

 

具体的には、事実と異なる告知があった場合(不実告知)や、「必ずこうなる」といった断定的判断の提供によって、消費者の意思形成過程に問題を生じさせた場合には、この消費者契約法違反を主張することができます。

不動産売買の意思能力について

意思能力がなかったと主張するには、意思能力の考慮要素や事情を説明できることが重要です。認知症の有無や程度を、医師の診断書や診療録(カルテ)などを証拠資料として明らかにする必要があるでしょう。

 

トラブルの際、弁護士などの実務家は、こうした証拠資料をもとにした当事者の事情から、契約締結時の年齢、契約の動機、契約締結前後の事実経緯、行動、判断および取引内容の客観的合理性などを検討することで、意思能力の有無を判断します。

 

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