(※写真はイメージです/PIXTA)

家のなかで避けたいのは座り続けることです。掃除、洗濯、台所仕事、庭いじり、ペットの世話などやることはいろいろあります。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『シャキッと75歳 ヨボヨボ75歳 80歳の壁を超える「足し算」健康術』(マキノ出版)で解説します。

高齢者は考えたいホルモン補充療法

このように、男性ホルモンが減ることによってさまざまな症状が起こることを男性更年期(LローOH症候群)と呼びます。

 

男性ホルモンの減少をくい止めるには、

 

・肉を食べて、男性ホルモンの原料となるコレステロールを増やす
・カキやニンニクを食べて、男性ホルモンの合成と分泌を促す亜鉛を増やす
・運動を習慣づける

 

などを心がけましょう。

 

気をつけたいのはコレステロールを下げる薬です。服用し続けると男性ホルモンが減り、ED(勃起不全)になるリスクが高くなります。

 

高齢者の診察にあたっていて感じるのは、男性ホルモンの多い人はおしなべて元気で、活力に満ちているということです。

 

意欲や記憶力を保ち、若々しくいるためには、男性ホルモン(テストステロン)を補うホルモン補充療法をおすすめします。

 

テストステロンは前立腺がんの原因ではありませんが、前立腺がんがある人は、テストステロンを補充するとがんを大きくしてしまいます。したがって、前立腺がんの人にはホルモン補充療法は行いません。

 

最近は男性の更年期障害を専門にみるクリニックも増えています。男性ホルモンの補充療法を希望する場合は、男性更年期障害の外来があるクリニック、または泌尿器科に問い合わせるか、相談をしてみてください。

 

■女性のホルモン補充療法は高齢期の若さと健康を保つ治療法

 

男性の場合、男性ホルモンが減って活力が落ちていきますが、女性は閉経後に男性ホルモンが増えて逆に元気になります。韓国ドラマの俳優のおっかけをしたり、グルメ情報を集めてランチ会を開いたりと、年をとってから社交的になったり、活動的になったりする女性は多くみられます。

 

女性がホルモンの減少でつらい症状に悩むのは、更年期とよばれる閉経をはさむ前後10年間です。

 

この時期、卵巣の機能が衰え女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に低下すると、頭痛や腰痛、肩こり、むくみ、イライラ、ほてり、不眠、肌の衰え、女性器の乾燥やかゆみ、性交痛、物忘れ、膝の関節痛など次々に不快症状が現れます。

 

エストロゲンは、脳、心臓、血管、骨などあらゆる臓器の働きにかかわっています。そのため更年期を過ぎた高齢期も、エストロゲンの欠乏によって動脈硬化、骨粗しょう症、脂質異常症、心臓疾患、物忘れなどの病気が発症しやすくなります。

 

女性を悩ませるさまざまな症状の改善・解消に効果を発揮するのが、ホルモン補充療法です。不足している女性ホルモンを補ってホルモンバランスを整えることで、ウソのように症状から解放されます。

 

ホルモン補充療法は乳がんのリスクが高くなるのでは? と副作用を心配する人が少なくありません。

 

ホルモンを投与する前には、乳がんの有無は検査で入念に調べ、投与後も定期的な検査を行います。検査をクリアしていれば心配はいりません。むしろ定期的に検査を行うことで、がんによる死亡率が下がるといわれています。ただし、乳がんの既往症がある場合は、治療を受けられないことがあります。

 

ホルモン補充療法は、更年期だけでなく高齢期の女性が若さと健康を保つ治療法です。つらい症状に悩んでいる人は婦人科で相談するといいでしょう。

 

和田 秀樹
ルネクリニック東京院 院長

 

 

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※本連載は和田秀樹氏の著書『シャキッと75歳 ヨボヨボ75歳 80歳の壁を超える「足し算」健康術』(マキノ出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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