(※写真はイメージです/PIXTA)

定年になれば、時間ができます。勤め先を離れて、上司も部下も、取引先もいません。ノルマも期限もありません。圧倒的な自由があります。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

時間の使い方に目を向けていく必要がある

■健康な心と身体で、やりたいことをやる

 

ここまで、65歳のみなさんに知っておいてもらいたい問題や心のありようについて紹介してきました。

 

定年になれば、時間ができます。

 

「現役時代にはあれだけ時間に追われていたのに」と思えば、信じられないほどです。

 

勤め先を離れて、上司も部下も、取引先もいません。ノルマも期限もありません。圧倒的な自由があります。

 

この自由は、みなさんが使っていい時間です。「言われなくてもわかっているよ」と思われるかもしれません。しかし、それを承知のうえでお伝えしているにはわけがあります。日本人には自分より組織を優先する価値観があり、みなさんも勤めていた当時にはそれをきちんと守ってきた部分も大きいと思うからです。

 

組織のことを考えたり、周囲が気になったりして、自分の幸せを後回しにしてしまう日本人は多いでしょう。

 

ですが、定年にもなり、長く勤めてきた組織を離れれば、もう組織はみなさんを守ってくれません。だから、もっとご自身のことを大事にしてほしいのです。

 

誰かに迷惑をかけることを過度におそれることもないでしょうし、何か人からうらやましがられる生き方をしなければならないわけでもありません。

 

自分にとっての幸せを追求していただきたいと思います。

 

自由な時間が増えたことに喜びを感じている方もいらっしゃれば、やはり環境や生活スタイルが大きく変わることでの心身への影響と健康リスクに不安を覚えた方もいらっしゃると思います。

 

これまで主に、定年後の自由と裏腹にある、65歳の壁の存在についてお伝えしてきました。靄がかかった定年後のご自身の生活像について、イメージが湧いてきたでしょうか。

 

しかし、視界が開けたところで、茫洋とした時間が広がっているばかり。65歳の壁を乗り越えるためには、私は時間の使い方に目を向けていく必要があると思っています。

 

■定年後のゆとりをいかに生み出すか

 

定年になれば、自由な時間が増えます。

 

しかし、その自由な時間を持て余してしまえば、心にも体にも不調をきたしてしまうことはすでに述べたとおりです。

 

多くの人が65歳の前後で、時間の過ごし方が大きく変わります。

 

勤め先に行かなくなることももちろんですし、会社勤めなどでなくとも、パートナーの定年によりやはり生活習慣が変わってくるということもあるでしょう。

 

さて、みなさんはこれからどんな時間を過ごそうとお考えでしょうか?

 

ゆとりは自由な時間が持てたからと言って、手に入るものではありません。

 

その時間をただ漫然と過ごしているのでは、「時間を持て余して暇になっている」ということと同じです。何も縛るものはないのですからゆっくりと過ごしたっていいのです。ですが、考えも無しに暇をつぶすことと、意図があって暇を楽しむのとでは、脳の働きも大違いです。

 

定年後のゆとりをいかに生み出していくかは、みなさんの時間の使い方にかかっていると言えます。

 

和田 秀樹
ルネクリニック東京院 院長

 

 

↓コチラも読まれています 

「意欲の低下」は気持ちの問題でも年のせいでもないという理由

70歳でも若さを持続できる人と一気に衰える人の決定的な違い

若返るのではなく「死なない」だけ…「人生100年時代」の悲愴

寿命が伸び続けても「脳の老化は止められない」という怖い現実

弟の東大現役合格で確信!「受験は才能ではなくて要領である」

※本連載は和田秀樹氏の著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方

「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方

和田 秀樹

日本能率協会マネジメントセンター

今日、65歳は人生の大きな岐路に立つ年だと言って良いでしょう。 「働いたほうがいいのだろうか」 「暇になりそうだが、何をしたらいいのだろう」 「健康状態も不安だ」 こうした、さまざまな課題と向き合わなければならな…

シャキッと75歳 ヨボヨボ75歳 80歳の壁を超える「足し算」健康術

シャキッと75歳 ヨボヨボ75歳 80歳の壁を超える「足し算」健康術

和田 秀樹

マキノ出版

老化による脳や体の衰えは避けられないもの。しかし「もう年だから」とあきらめることはありません!現代の710代は、老いと闘える最後の世代! 70代になったら薬で数値を下げたり、塩分や脂質の低い食事をションボリ食べる「…

80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい

80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい

和田 秀樹

廣済堂出版

70代は人生の下り坂に差し掛かった時期。一気に滑り台のようにおりていくか、鼻歌でも歌いながら気長におりていくか……。80代、90代を迎える大事な時間である70代をいかに過ごすべきか。30年以上にわたり高齢者医療に携わって…

アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉

アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉

和田 秀樹

大和書房

親の言葉かけが、子どもを東大へ行かせます。 罰しても子どもは勉強しません。なぜなら自分に価値があると思うときに子どもは勇気を持てるからです。アドラーは親子関係を対等なものと考え、子どもが人生の課題に取り組み、乗…

東大医学部

東大医学部

和田 秀樹 鳥集 徹

ブックマン社

灘高→東大理Ⅲ→東大医学部卒。それは、日本の偏差値トップの子どもだけが許された、誰もがうらやむ超・エリートコースである。しかし、東大医学部卒の医師が、名医や素晴らしい研究者となり、成功した人生を歩むとは限らない…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録